■辰巳ダム日誌
                          辰巳ダム日誌(2011年1-3月) 目次

◆2011.1.28(金) 辰巳ダム裁判進行協議(地すべり勉強会)被告説明の開催、大会議室午後2時から4時
◆2011.2.28(月)午後1時半〜1時45分、辰巳ダム裁判第15回口頭弁論開催
           午後2時〜4時半、辰巳ダム裁判進行協議(地すべり勉強会)原告説明の開催

◆2011.6.3(金)午後1時半〜、辰巳ダム裁判第16回口頭弁論開催(予定)


【辰巳ダム日誌】2011.1.28(金) 辰巳ダム裁判進行協議(地すべり勉強会)被告説明の開催、大会議室午後2時から4時
 双方が主張をぶつける「口頭弁論」ではなく、裁判を円滑に進める手続きである「進行協議」の一つとして、裁判官、原告、被告をまじえて専門事項の勉強会が、2011年1月28日(金)午後2時から4時、金沢地方裁判所仮庁舎会議室で開催された。これまで、「治水」に関して、被告、原告、それぞれの説明による勉強会が一回ずつ開催されているが、「地すべり」に関しては、はじめてである。あらかじめ、裁判所から、「進行協議について」(平成22年11月4日付け)の文書が提示され、この質問事項に沿って、被告が答えたものである。鴛原地区の超大規模地すべりブロック(L3ブロック)を念頭に、まず、双方に争いのない「ダム湛水に伴う地すべりのメカニズム」、被告が依拠しているマニュアル「貯水池周辺の地すべり調査と対策」の概略を説明しながら、地すべりブロックの区分とすべり面設定についての一般的知見、L3ブロックの区分とすべり面設定、L3ブロックの安定性について、被告から説明が行われた。国や石川県の担当者に、地すべりに関して学識のある大学教授も加わり、基本的なしくみについて説明がなされた。
 土塊のすべりに対する抵抗力は、すべり面の粘着力による抵抗と土塊の内部摩擦による抵抗によるもので、後者については、土粒子の図解解説があり、水没して浮力を受けると土粒子のかみ合わせがなくなり、内部摩擦がなくなり、抵抗力が減ること、水位低下して浮力が小さくなっても残留間隙水圧で相対的に抵抗力が減り、滑動することがあることなどの説明があった。地すべり地形の判定の一般的な知見、安全率とR/D比の関係についてなどの説明もされた。
 L3一体のブロックの下段泥岩層をすべり面とした安定計算について、原告から質問がでて、被告は計算しているとの回答があり、次回に提示されることになった。
孔内傾斜計についてL3ブロック現場でアルミパイプが設置されているかどうかの質問があり、設置されているとの答えがあった。
6測線のL3ブロック一体の安定計算において、L3−1ブロックに対応する柄の部分の粘着力を25KN/m2としているのは疑問という質問がなされたが、被告の一人は、L3−2ブロックの検討はR/D比が小さく計算され、より慎重な検討を行っており、問題はないと答えた。
 説明の内容は、辰巳ダム訴訟提出文書一覧の「進行協議(地すべり勉強会),平成23年1月28日,被告の説明」ファイルを参照。

【辰巳ダム日誌】辰巳ダム裁判第15回口頭弁論開催および辰巳ダム裁判進行協議(地すべり勉強会)原告説明の開催
第15回口頭弁論:
 2011年2月28日(月)午後1時半から1時45分、金沢地方裁判所仮庁舎第1号法廷で開催。裁判官3名(中垣内健治、足立拓人、中山氏(南うらら氏と交代))、被告9名、原告9名、傍聴30名弱。
 被告第14準備書面に対する反論として、原告第18準備書面(穴あきダム、利水、代替案)を提出。7つの論点(治水、利水、自然環境、文化遺産、穴あきダム、代替案、地すべり)のうちの3つ。下記に内容の一部を紹介。
また、被告からは上申書(1月28日被告プレゼンテーションスライドに説明を加えたもの)が提出された。自然環境に関して原告が被告に公開を求めている資料については、第三者に渡す場合は、公開しないなど他の目的で使用しないように一筆を求めることについて原告は検討するとした。被告は地すべりについての反論を5月9日までに提出するとした。
 その後は、立証に入るので、立証をどの程度考えているのかについても原告の立証計画を作成するようにとの話があった。それに対して、被告の表明をしてほしいとのことであった。
 次回、第16回口頭弁論は、6月3日(金)13:30から金沢地方裁判所仮庁舎第1号法廷で開催される予定。

(原告第18準備書面の一部を紹介)
穴あきダム 水理模型実験/洪水吐きの構造/土砂堆積について
 治水専用の穴あきダムは、類似のものはあるが、実質的には全国で2例目である。未成熟の技術であり、問題が多い。水理模型実験の実験条件が甘く、実態と著しく相違している。洪水吐きの構造について、被告は既存の2ダムを改造して、辰巳ダムと同じ方式を取り入れることは不可能と主張するが、ゲート式ダムの限定的なものであり、ゲートを固定すれば穴あきダムになる。ダム湖への土砂堆積については、1回の洪水で堆砂容量が満杯になってしまうほどの規模である。
利水 付加高さ/自然流量と水利使用許可/ダムの貯水容量について
 河川維持流量を確保して河川環境を守るために辰巳ダムが必要としているが、辰巳ダムで開発されるのは、わずかな量(増えるダム貯水容量105万立方メートル)である。わずかな量を増やす一方、既存のダム容量を強引に減らしている。被告は、犀川ダムで、ダム湖の付加高さ(貯水池の高さの余裕)を既存の0.8mから2.0mにしなければならないと主張するが、旧基準の0.8mのままとして新基準を遡及適用しなくてもよいのである。また、犀川ダム、内川ダムの利水容量の合計は、909万立方メートルであり、毎秒2.52立方メートルの上水が供給されているが、毎秒1.11立方メートルしか活用されていないので余剰がある。1年を通じて半分以上が余剰の状態にあり、この余剰のダム貯水容量を一部活用すれば新規ダムはいらない。被告は、自然流量に関して、「水利使用許可は、通常、自然流量から下流河川で必要となる河川維持流量を差し引いた残りの流量の範囲内で行うもの」と説明するが、昭和36年時点の「水利権一覧」で通年8.744〜9.056?/秒とあり、辰巳ダム計画のかんがい3.71、上水2.52、河川維持流量1.19、合計毎秒7.42立方メートルがすべて、ダム無しでまかなえることになる。
代替案 パラペット案が検討されていないこと/合成粗度係数について
辰巳ダム計画の100年に一回の洪水を前提としても、ダム案よりも安価で容易な代替案が存在する。区間6(新橋から下菊橋)パラペット案であり、その他の区間は、石川県の代替案をそのまま適用するものである。区間6では既存のパラペット(コンクリート壁)があり、改修費用ゼロとなり、辰巳ダム案よりも大幅に安価となる。被告は、パラペット案を比較対象にあげること自体、妥当でないと4つの理由をあげて反論するが、いずれも理由が無い。また、区間1(河口から伏見川合流点)の合成粗度係数を妥当に評価すれば、辰巳ダムなしでも河道の拡幅などは不要となり、辰巳ダム案に比較して安価な代替案となる。

進行協議(地すべり勉強会)原告説明:
 第15回口頭弁論に引き続き、2月28日(月)午後2時から4時半まで、金沢地方裁判所仮庁舎会議室で開催された。前回の被告説明に続き、2回目で、原告が説明。あらかじめ、裁判所から、「進行協議について」(平成23年1月4日付け)の文書が提示され、この質問事項に沿って、原告が答えるもの。鴛原地区の超大規模地すべりブロック(L3ブロック)、瀬領地区の地すべりブロックを念頭に、L3ブロックの区分とすべり面についての疑問や瀬領地区の地すべりの危険性について、準備書面で主張していることについて、図解して説明。説明者は、地すべり専門家である、元京都大学防災研究所奥西一夫名誉教授。
 全文については、下記のホームぺージで紹介するが、内容の一部を以下に掲載する。


鴛原超大規模地すべりL3ブロックについて、以下の想定すべり面の安定計算がされていない!

L3ブロックの末端すべりの危険があり、試算では、安全率10%低下するが対策工なし!

瀬領地区は地すべり危険地区に囲まれている!

瀬領集落をのせた地すべりブロックの試算では、安全率6%低下するが対策無し!

 パワーポイント資料→クリック

資料:

 マスコミへの配布資料 →クリック
 一般傍聴者への配布資料 →クリック

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