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                          辰巳ダム日誌(2009年9-10月) 目次

◆2009.9.25(金) 辰巳ダム裁判第8回口頭弁論
◆2009.9.29(火) 公開質問と説明会開催および工事の一時中断の申し入れーー辰巳ダム堤体の断層についてーー
◆2009.10.1 辰巳の会の碇山代表が前原誠司国土交通大臣へ
◆2009.10.6 検討「犀川大橋基準点の降雨データから求めた流量による流量確率評価について」

◆2009.10.20 石川県収用委員会から土地の収用に関して裁決書が送付されてきた。
◆2009.10.23(金) 浅野川洪水の洪水量の技術根拠資料の不存在通知に対する「異議申立に係る意見書」を提出



【辰巳ダム日誌】2009.9.25 辰巳ダム裁判第8回口頭弁論(予定)
 
辰巳ダム裁判の第8回口頭弁論は、2009年9月25日(金)午後2時20分から金沢地方裁判所第1号法廷で開催される予定。傍聴自由。
 被告からは第七準備書面(治水の反論)が提出された。 原告からは第四準備書面(辰巳用水と文化財、自然環境の反論)が提出され、
 次回に原告から第五準備書面(利水の反論、穴あきダムの反論、治水に関する被告の準備書面に対する反論)が提出される予定である。提出期限は、2ヶ月後の11月24日とし、弁論期日は1週間後の12月4日と決められた。
 穴あきダムの反論がでて、すべての項目について、
 訴状→被告の反論→その反論に対する原告の反論 
 がなされたことになる。主要な項目である「治水」に関しては、さらに、
 被告の再反論(第七準備書面)→原告の再反論(次回の準備書面)
と進んでいるので、その争点と内容について明らかになりつつある。
 専門的な事項の議論が主たるものとなっており、これまでのやりとりについて、裁判官が判断するにあたり、その基礎的な専門的知見を明確にしたいので、
いままでの準備書面の主張にしたがい、わかりやすく説明を双方を代表して、専門家から話をしてほしいとのことで、勉強会のような趣旨の会を次回の口頭弁論の後の適当な日に開催することが決められた。
 ついて、どこが争点か、その対立点はどこに起因するのか、などについて、裁判官がわからないことを質問するのでその準備をしておくようにとの指示があった。
 治水、地すべりの準備書面(他の項目については?)のすべてについて認否のとりまとめ(相手の言い分を認める、条件をつけて認める、否認する)を行い、争点に関してペーパーを作成しなければならないらしい。
 次回あたりで、争点が出尽くし、その後は、専門家による立証のための証人尋問という段取りになるらしい。


 辰巳ダム裁判第8回口頭弁論の結果
  辰巳ダム裁判の第8回口頭弁論は、2009年9月25日14時20分から30分、金沢地方裁判所第1号法廷で開催された。裁判官3名、原告および弁護団10名、被告12名、傍聴者数十名、ほか書記、係員数名が出席した。
 被告からは、第七準備書面(治水の反論)が、原告からは、第四準備書面(辰巳用水と文化財、自然環境)が提出された。今後、被告から地すべりの反論、原告からは利水の反論、穴あきダムの反論、今回の準備書面の反論を行う予定である。特に治水と地すべりについて、専門的な事項に関する勉強会については論点が明確になったところで双方の専門家の話しを聞きたいと裁判官から話があった。新たな準備書面を作成するのではなく、準備書面のことがわかっている専門家で、どこが争点かを確認し、対立点はどこに起因するのか、こちらでわからないことを質問に答える準備をしておくようにとの説明がなされた。治水と地すべりについての準備書面の認否のとりまとめをしておくこととなった。準備書面の提出期限は、11月24日、次回の第9回口頭弁論は、12月4日(金)午後2時30分から、金沢地方裁判所第1号法廷で開催されることに決定した。

【辰巳ダム日誌】2009.9.29 辰巳ダムの断層に関する申し入れ
 辰巳ダム裁判では、「治水」、「利水」、「辰巳用水と文化財」、「自然環境」、「穴あきダム」、「代替案」、「地すべり」の7項目について、辰巳ダムの問題点を追及しているが、ダム堤体を支える基礎については、専門的な知識が不足し、素人なので、空白状態でした。露出した地層で「断層」が確認できるとの情報があり、25日午前中に渡辺氏とともに現地を視察した。現場事務所の所長、担当者からの話を聞いて、おおよその概要を確認した。
 質問には親切に回答してくれるが、こちらも素人なら、説明する方も素人である。専門家からのオーム返しで、おおよそのことはわかるが、どの程度の信頼性があるのか、わからない。例えば、活断層といっても、専門家でも判断がむずかしい、活断層があるという、活断層はないといわれればそうか、活断層はあるといわれればそうか、としか、わからない、その程度のレベルの連中が断言してもどの程度の信頼性があるのか不明である。したがって、ダム堤体に関する重要なことは、専門家による調査を受け、その調査報告書を残し、のちに別の専門家がその安全性について確認、立証できるようなことにしておけば問題ないはずである。ところが、説明を受けても、そのような調査報告書も示さず、地質に関して素人に近い技術者が「問題ない、安全だ」と説明されてもほとんど説得力はない。なんとなく、いい加減さを感じた。埋めてしまえば、後から、確認も検証もできなくなる。何かおかしいことがあったとしても指摘されなければ、公表もされず、埋もれてしまう。基礎の止水や強度の補強のためにも、多額の費用が費消されるが、途中の段階の調査報告書が整備されていなければ、後から確認できなければ、妥当な費用か、無駄な費用かもわからない。すべてまかせておけ、よろしく処理するということであろうか。
 今回は、まず、ダム工事現場の断層の存在判明について、「抗議と一時中断の要求」、および「公開質問と説明会開催の申し入れ」をすることにした。
 「辰巳ダム工事現場での断層の存在判明に関する抗議と要求」(提出文書)→抗議と要求の内容、状況と結果は、「辰巳の会」のブログで。
  →http://blog.goo.ne.jp/stoptatsumidam/
 「公開質問と説明会開催および工事の一時中断の申し入れーー辰巳ダム堤体の断層についてーー」→http://naka.popolo.org/index.htm  のno.31

【辰巳ダム日誌】2009.10.1 辰巳の会の碇山代表が前原誠司国土交通大臣へ
 書簡「辰巳ダム建設工事の一時中断についてのお願い」の送付→http://naka.popolo.org/index.htm  のno.32

【辰巳ダム日誌】2009.10.6 検討「犀川大橋基準点の降雨データから求めた流量による流量確率評価について」
 筆者らは、度々、高野河川課長ら石川県に対して、流量確率評価を行い、基本高水ピーク流量の検証をするべきであることを指摘していたが、石川県は全国で一般的に行われている方法で検討を行っているものであり、観測流量による流量確率評価はやる必要はないと頑なに拒否してきた。その理由の一つが、犀川大橋地点の流量観測(下菊橋測水所)が昭和53年以降しか流量記録の蓄積がないというものである。流量観測記録は少ないとしても降雨データの蓄積は十分であったから、降雨データを流出計算して変換した流量データで流量確率評価ができたはずにもかかわらず、これも行われなかった。
今回の辰巳ダム裁判において、過去57年間の降雨データから変換して求めた流量の一覧が被告提出の証拠書類として示された。「主要地点における最大流量」(乙第30号証)である。引き伸ばし率1.0、飽和雨量Rsa=0mm、つまり、実際の降雨データをそのまま使用し、地表面が飽和状態で浸透、蒸発量がゼロと仮定して降った雨の全量が流出するものとして計算した流量一覧表である。このうち、犀川大橋地点の流量を用いて、以下に流量確率評価を行い、犀川大橋基準点の基本高水ピーク流量を検証する。
 →http://naka.popolo.org/2009-9+10/rain-Q-kakurituhyouka.htm

◆2009.10.20 石川県収用委員会から土地の収用に関して裁決書が送付されてきた。
 30日以内に、国土交通大臣に対して審査請求することができると案内がある。

◆2009.10.23(金) 浅野川洪水の洪水量の技術根拠資料の不存在通知に対する「異議申立に係る意見書」を提出
 去年の2009年11月21日、浅野川洪水の洪水量の技術根拠資料不存在決定の異議申立をした。河川課が、浅野川洪水の第三者委員会で3時間降雨量や洪水量のピーク流量について結果を公表したが、その根拠資料の公開を求めたところ、不存在の通知が来た。これに対して異議申立をしたものであるが、これに関しての「意見書」である。わすれたころにやってきた。
 そして、今年の4月に技術根拠資料そのものについて、公開を受けているので、異議申立を行うものの利益も消滅しているので異議申立も却下?されるらしい。とはいえ、言い分についての主張だけは残しておきたい。
 県の言い分は、委託した建設コンサルタントの最終成果品が納入されなければ、公文書として不存在で公開できないという。結論に至った検討過程を計算した技術文書が存在しているにもかかわらず、精査がすんだ最終成果品でなければ、単なる個人的なメモと同じで組織共用文書でないので公文書ではないという。結論を記した文書が公文書であり、その計算根拠が公文書ではないというのは、常識的におかしいということで異議申立をしたものである。
 平成21年3月6日に県が石川県情報公開審議会へ「異議申立てに係る理由説明書」を提出し、平成21年4月6日に石川県情報公開審議会から当方に「異議申立てに係る意見書の提出依頼」の文書が届いていたらしいが、確認していなかった。10月9日付で石川県行政情報サービスセンターから案内があり、提出時期にかかわらず、意見書を出すようにという案内があり、提出したものである。意見書の内容は以下のとおりである。
 

平成21年10月23日

異議申立に係る意見書

 

石川県鳳珠郡能登町中斉ワ部2

中 登史紀(62歳)

 

平成20年11月21日に提出した「異議申立書」において、「技術根拠資料」を公文書として保有しているはずであると指摘した。いわく、「途中であっても計算結果が確定したものであれば、その技術計算根拠も確定しており、確定した時点で実施機関へ結論とともに提出されたものは成果品であり、公文書であるはずである。」、「途中で提出されたものが成果品ではないという定義はどこにもない。」のである。

 平成21年3月6日の石川県の「理由説明書」では、「情報公開事務の手引き」(石川県)にもとづき、以下のように、「技術根拠資料」を公文書として保有していないと主張する。@「技術根拠資料」は、個人のメモや参考資料として取り寄せたものであり、公文書(組織共用文書)に該当しない。A「技術根拠資料」は、委託契約の成果物として実施機関に提出された時点で公文書となるが、実施機関に提出された時点とは委託業者が成果品として納入し業務完了と実施機関が認めた時であるので、この要件を満たしておらず、公文書に該当しない。

石川県の説明では、「技術根拠資料」自体の存在は否定していない、言い換えると存在し、保有している。当時の課長に直接、「公開しないのはおかしい、任意でもいいから提供してはどうか」などと尋ねたところ、「精査しているから公開できない、委託業者が成果品として納入した後公開する」とのことであったことからも、石川県が保有していたことは明らかである。

この「技術根拠資料」をもとにした、第三者委員会配付資料「局所豪雨に対応した新たな河川管理検討委員会(第三者委員会)〜浅野川における豪雨災害を受けて〜」は公文書として公開されている。この配付資料では、「技術根拠資料」の結論が記載されており、この両文書は内容的には、一体のものである。一方は、公開し、他方は、不存在という理由で公開されていない。

この配布資料も、前述のAの要件を満たしていないが、委員会の配布資料であるので公文書あつかいとなる。同様の文書の対応が異なる理由は、委員会に配布されたか、配布されなかったかの違いである。課長が「精査しているから公開できない。」と述べていたが、片方に誤りがあれば、連動しているので両文書ともに誤りとなる、「精査している」が理由であるならば、両文書とも公開できないことになる。

つまり、委員会の配布資料にするかどうかが、公文書あつかいの分かれ目であり、担当者の裁量によって行われている。

もう一つの裁量が、組織共用文書となる例「委託契約の成果物(実施機関へ提出された時点で対象)」の解釈である。実施機関へ提出された時点を業務委託全体の最終成果品が納入されて実施機関が業務完了と認めた時点に限定している点である。そのため、公開が年度末などに限定されることになる。

さらに付け加えると、平成15、16年に行われた「犀川水系河川整備検討委員会」ならびに「犀川水系流域委員会」では、技術根拠資料は委員会後に公開されている。この取り扱いの相違は不明である。

この結果、「知る権利を保障し、行政への参加と監視及び行政運営の透明性の確保」をすることにより、「県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政をより一層推進すること」を著しく、阻害することになる。



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