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                          辰巳ダム日誌(2008年11月) 目次
◆2008.11.13 収用委員会第一回審理の開催
2008.11.14 浅野川洪水に関して「公開質問状」と「申入書」の提出
2008.11.21 浅野川洪水の洪水量の技術根拠資料不存在決定の「異議申立書」を提出
◆2008.11.21 石川県河川課長あてに、公開質問の回答請求と浅野川洪水の議論の申し入れ


【辰巳ダム日誌】2008.11.13 収用委員会第一回審理の開催
 ーー第一回収用委員会審理報告ーー 平成20年11月16日中 登史紀
 平成20年11月13日、「辰巳ダム」に関する収用委員会の第一回審理が行われた。
●金沢駅前の県立音楽堂の大ホール(収用1560席)に、土地所有者および関係人が20名ほど、一般傍聴者4,50人、県関係者20人弱と、収用委員会委員と事務局員等20名弱、ほか受付など場内整理関係者20名程度、マスコミ含めて合計200名弱を集めて行われた。土地所有者は640名余りにのぼるので大会場が用意されたということであるが、平日の日中でもあり、参加者は少人数だった。
●委員長から、審理についての説明の後、起業者である石川県から「損失補償額」についての説明があり、その後、土地所有者および関係人の意見陳述が行われた。意見書を提出した者、提出していない者についても発言が許された。
碇山金沢大学教授をはじめ、11名が意見陳述を行った。
●碇山教授は、今回の審理について、案内では、場所と時間を指定しているだけで、意見陳述をできるのかどうかについても一切、説明がない。会場へ来てはじめて今日からすぐに意見収集であるとわかった。今日は一部の陳述しか用意していないので、次回に続きの陳述をすることを主張した。(委員長は了解の意志を示した。)
意見陳述については、石川県が実質的に用地交渉を行っていない段階で強制収用の手続を進めており、交渉困難と称して収用裁決申請するのは違法行為であり、収用裁決しないように求めた。
●当方は、「辰巳ダムは想定洪水1600を1750とわずか150引き上げるだけであり、水文学的には誤差の範囲と言ってもいい程度であり、仮に公益性があったとしても、緊急性はなく、いますぐに強権で収用しなければならない理由はない。公益性については、現在、裁判所で争議中であり、その結論がでてから判断しても遅くはない。」と主張した。数分で終わる内容であったが、エンジニアの立場から、先般の浅野川洪水と辰巳ダムとの関係についても言及し、30分強の時間を費やして、陳述した。
(傍聴の人などの話しでは、サッパリわからなかったと不評であった(-_-;)。いつものことですが。(^_^;))
●川辺川ダムや大戸川ダムなどで知事が建設反対の意思表明をして、治水ダムの見直しがなされている。特に穴あきダムは有効かどうかもわからない、建設を止めるべきであるなど、ダム建設の公益性についても主張の陳述がなされた。
委員長は、収用委員会での審理の対象である「損失補償に関すること」以外のことについても、収用委員会での審理に関係ないと思われることについても広く意見を聞く姿勢を見せた。
●土地収用法では、
43条で意見書を提出することができることになっているが、「収用委員会の審理と関係がないものを記載することができない。」、記載しても「初めから当該事項の記載がなかつたものとみなす。」ということになっている。
63条で意見を述べることはできるが「収用委員会の審理と関係がない事項について口頭で意見を述べることができない。」ことになっている。
収用委員会での審理は「損失補償」についてだけであり、「公益性」に関することは審理されない。それゆえ、これらの意見陳述がどのように取り扱われるのかわからない。意見陳述を行った土地所有者の中にも、どう取り扱われるのかという疑問をなげかけた者もいるが、委員長によれば、「審理」の場は裁決判断のための意見を収集する場であり、答えることはないということであった。
●今回は、土地収用法の裁決手続のイベントの一つ。
土地収用法の第一段階の「事業認定手続」は以下の順ですでに終わっている。
事業認定申請→申請書の縦覧→意見書の提出→公聴会の開催→事業の認定
事業が認定された、つまり公益性のある事業だと言うことで、起業者である石川県が第二段階の手続である、「収用裁決手続」に入ったものである。
収用裁決申請→申請書の公告→意見書の提出→審理での意見陳述→収用の裁決
参考に述べると、
第一段階の手続は、財産権を規定した憲法第29条2項の「公共の福祉に適合するかどうか」つまり公益性があるかどうかについて審査する手続、第二段階の手続は、第29条3項の「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」の正当な補償を決めるための手続である。
したがって、収用裁決申請に至る過程に違法性はなかったか、については審理の対象となるが、公益性があるかどうかなどについては審理の対象外であり、「記載がなかった」、「陳述がなかった」とみなされる。
●次回は、12月10日、同じ場所で開催。
引き続き、意見書は11月25日(消印有効)まで受け付けるとのこと。
起業者が強制的に土地を取りあげる前に、お墨付きを与えるための、中立をよそおった、形骸化した委員会か、あるいは意見を収集してその意見がなんらか結論に反映されるのか、懐疑的ではあるが、最後まで見届けるつもりである。

【辰巳ダム日誌】2008.11.14 浅野川洪水に関して「公開質問状」と「申入書」の提出
ーー浅野川洪水の雨量、洪水量の技術根拠資料の公開についての質問状と申入書についてーー
●11月14日(金)午前10時、河川課へ出向いて、河川課長あて「公開質問状」、第三者委員会委員長あて「申入書」を持参した。常田課長は不在のため、かわりに椿川氏が対応した。第三者委員会委員長への「申入書」も、河川課が事務局となっているので、同時に提出した。
何故、公開しないのかについての公開質問状に対する回答をするように求めた。
椿川氏「内容を見てから返答するかしないかを答える。いつまでに返答するか約束できない。」ということであった。
中「返答できないという内容ではなく、すぐに返答できるはずである。質問してもほとんど回答がないので、来週、河川課へ出向いて回答を尋ねる。」
中「第三者委員会では、雨量や洪水量について結論だけで議論している。結論を導いた技術根拠についても議論するべきである。あいまいな結論をもとに対策を検討しても意味がない。」
椿川氏「第三者委員会は、河川管理や水防のあり方を議論するところで、洪水量などを議論するところではない。」
中「それでは、学識経験者を入れた委員会としてまずいのではないか。来週、出向いた時に、第三者委員会委員長の答えも聞く。」
ということで引き上げた。
その後、記者クラブで説明をした。

●第三者委員会での検討事項について
椿川氏の指摘のとおりかどうか、確認した。「局所的豪雨に対応した新たな河川管理検討委員会(第三者委員会)」設置要綱の第2条に「第三者委員会は、平成20年7月28日の豪雨災害の検証や課題の抽出を踏まえて、局所的豪雨に対応した新たな河川管理及び水防体制のあり方について検討する。」とある。「豪雨災害の検証を踏まえて」と若干、不明瞭な点もあるが、「豪雨災害の検証結果の提供を受けて」と限定されているわけでもないので、委員会で検証すると解釈できる。第三者委員会の資料の「今後のスケジュール予定」にも、(主な検討)の項に、@7月28日の洪水状況や豪雨災害の検証 とある。
「公開質問状」、「申し入れ書」および添付資料は、→クリック

【辰巳ダム日誌】2008.11.21 異議申立書を提出
 石川県河川課は、浅野川洪水に関して結論だけを示して、技術根拠を示していない。
 当初、第一回第三者委員会で示された結論について、「詳細については精査中」ということで公開できないと説明していた。第二回第三者委員会では、今回は公開されると期待していたが公開されなかった。「成果品」でないから、公開できないという回答だった。
 技術根拠資料は公開しても何も問題はないはずである。
 個人情報が含まれているわけでもない、意志決定過程の生煮えの情報で公開すると混乱するわけでもない、考えても何も支障はないはずである。
これを公開しないのは、情報操作?、水増し疑惑などとの疑念もでてくる。
 天神橋地点の流量が計画高水の460m3/秒ではなく、650m3/秒とすれば、想定外の洪水であり、氾濫を回避できなかった、行政の責任ではないことになる。
 また、浅野川放水路で150m3/秒以上であったとすれば、放水路の管理も適正に行われ、十分に機能を果たしたということになる。
本当に、650m3/秒だったのか、150m3/秒以上流れたのかを技術的に確認しようと思ったら、見せられないという。(成果品として納入された後、年度末、なら公開できるという。→それでは遅すぎる。)
 成果品の定義も不明であるが、公文書の定義は、「職務上作成、組織的に共用、保有している」ことであり、技術根拠資料は当然、河川課内に公文書として存在する。公開しないのは違法である。
 
 これに対して、
 21日午後、浅野川洪水の洪水量の技術根拠資料不存在決定の異議申立書を県情報公開窓口で提出。

 午前10時からの河川課での申し入れの際も、浅野川洪水の技術根拠資料についての公開、あるいは情報提供は無かった。課長は、情報公開の条例に従って公開するのみとして、最終的な成果品になった段階で公開すると繰り返した。
 今回の事例に関しては、常識的に明らかに公文書であると考えられるので、午後、情報公開の窓口へ異議申し立て文書を提出した。
 今後、審議会に諮られ、河川課が作成した「理由説明書」が送られてくる。こちらから「意見書」を提出した後、これらが審議会で審議される。
 相当の時間がかかることが予想されるので、当方の対応としては、県の「手引き」などを精査して意見をまとめて何らかの形で問題提起しようと思う。

【辰巳ダム日誌】2008.11.21 石川県河川課長あてに、公開質問の回答請求と浅野川洪水の議論の申し入れ
 申し入れ書→クリック
 ●マスコミへの案内は以下のとおり。

 浅野川洪水に関する「申入書」の提出について
 ――先週の公開質問の回答請求と浅野川洪水の議論の申し入れについて――
前回(11月14日)の公開質問の回答と浅野川洪水の議論の申し入れを行う。河川課長あてに「申入書」を提出後、その場で前回指摘した事項についての県の説明を求め、技術的な議論をするように申し入れる。
 石川県河川課は、浅野川洪水に関する基本数値である雨量、洪水量について説明も議論もなく結論だけを示している。結論として示されている基本的な数値次第で、河川整備あるは河川管理のあり方が大きく影響する。現状を分析して的確に把握しなければ、非効率あるいは無駄で見当違いの方策を立てかねない。
 
1.公開質問の回答を請求
 技術的な根拠資料を公開しない理由、第三者委員会へ提供しない理由、以前は公開していたが。
2.洪水量についての矛盾、疑問についての議論
 雨量、洪水量についての疑問について議論したい。
3.根拠不明の迷言の流布についての議論
「辰巳ダムが完成していたら、もっと被害が小さかったはず。ダムの必要性を痛感している。」などの迷言が流布されている。現状を的確に分析をしないで対策を立てても無駄であり、―辰巳ダムはその典型例―である。簡単な試算と図解でその根拠を明示する。
その説明の一部は、
昭和28年8月の洪水 →犀川/浅野川の合計流量は 1,345m3/秒(浅野川574m3/秒+犀川771m3/秒)
今回の平成20年7月の洪水 → 1,083m3/秒(浅野川650m3/秒、犀川433m3/秒)。
これに対して、現在時点の治水の能力は、 2,310m3/秒(浅野川710m3/秒+犀川1600m3/秒)。
辰巳ダムがなくともはるかに流下能力の方が大きい。なぜ、氾濫したのか。

 ●平成20年11月21日の河川課申し入れ結果
 課長が在席して表面上はそれ相応の対応はしてくれたが、内容はまったく誠意のない、いい加減な対応であった。前回、対応してくれた椿川氏も同席したが、課長同様に中身については不誠実な対応であった。第三者委員会委員長への申し入れを取り次いで委員長の考えを聞いてくれるように頼んだことも全く無視されていた。
 「事務局が取り次がないのであれば、直接、委員長に申し入れあるいは抗議を申し入れることにしますから、いいですね。」との確認に対しても、返答無しであった。
課長から「中さんはどういう立場で来ているのか。」との質問。当然ながら、「県民の立場からである。浅野川洪水に対して、県は根拠無く結論だけで説明責任を果たしていない。矛盾だらけで、あまりにもひどい。」と返答。
 今日の河川課へ来た目的について説明。
 3点あり、「河川課長宛の質問状の答えの請求」、「疑問や矛盾についての議論」、「根拠不明の迷言についての議論」である。
 課長のいつもの対応である、相手のいうことを聞く前に反応して答えがどんどんでてくる、当方の行動の不備などをついて反撃などで、またまた、議論が深まらず(議論を深めず、その場で問題をあやふやにしてしまおうという姿勢)、適当にごまかされてしまった。
公開質問の第一点目の技術根拠をなぜ公開しないのかに対して、「公開しないとは言っていない。情報公開の法律にのっとって公開する。」、公文書かどうかについても議論をする気はないらしく「情報公開の窓口で言ってくれ」という調子で逃げられてしまった。第二点の「第三者委員会においても基本数値の技術根拠について議論しないのでは学識経験者で審議する意味がないのではないか。」についても「河川管理のあり方を検討するところで、洪水量などを議論するところではない。」、委員会要綱の目的の項を示して「洪水の検証」も含まれていると指摘しても「主目的でない、限られた時間しかない。、、、」などいい加減な答えでごまかされてしまった。ただ、「委員会にも結論だけで、技術根拠資料を提供していない。」ことは認めた。
 →これに対しては、委員長宛に直接、公開質問状なりを突きつけて、基本数値をあいまいにして対策をまとめても無意味であることを指摘しないといけないだろう。
第三の「以前となぜ、姿勢を変えたのか」については、前の時は、その委員会の趣旨や目的があってそのような公開をしたのだろうが、今回は洪水量の検証などが目的ではないので、必要がなかったという趣旨のことを述べた。→以前の委員会の趣旨や目的を再確認する。
 疑問や矛盾についての議論は全くする気がなく、忙しい、時間がないなどと言って、対応しないので、今回、作成した「申し入れ書」を提出して引き上げた。
 「想定外の洪水だ。」、「200年確率の雨だった。」、「天神橋で650だった。」、「辰巳ダムを早く完成させないといけない。」など、根拠の曖昧な「迷言」が氾濫しているので、とにかく、折をみて、釘をさしておかねばならない。
 今日は、石川さんと県庁で待ち合わせをして、河川課へ乗り込んだ。課長は、どうして一緒に来たのかと何か?、単に傍聴ですよ、と説明したが、すぐに石川さんと会話を始めようとして困惑させられた。焦点をぼかそう、集中しないように、拡散させようとしている意図かな?


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