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■辰巳ダム日誌 | ||
辰巳ダム日誌(2008年12月) 目次 ◆2008.12.9 浅野川放水路について知事へ申し入れ ◆2008.12.10(水)10:00−16:30 収用委員会第二回審理(石川県立音楽堂大ホールにて) ◆2008.12.19(金)10:00- 浅野川洪水に関する申し入れ――「浅野川洪水に対応した河川整備・河川管理検討委員会」の設置を―― ◆2008.12.19(金)13:10− 辰巳ダム訴訟第三回口頭弁論 |
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【辰巳ダム日誌】2008.12.9(火)午前10時 浅野川放水路について知事へ申し入れ 申入書、別紙(比較写真)、 マスコミへの案内→クリック 知事への申し入れ結果 再三の申し入れに対して河川課の対応が悪いので、直接、秘書課に電話をして知事に直接、申し入れることにした。秘書課では、水害の件は河川課の担当だからと河川課に電話をまわされ、「疑問点について説明を求めたいのであれば1時間でも2時間でも話をしてもよい」という主旨の返答が返ってきたが、「いまごろ、言ってもだめだ。知事へ直接、申し入れた後で、河川課で話を聞きに行く」と宣言して電話を切った。 9日の10時に、秘書課へ出向くと、秘書課長が対応してくれた。 「浅野川放水路は浅野川治水の切り札だったが、今回の洪水では切り損ねた。県は毎秒150立方メートル以上の放流ができて十分に機能を果たしたと説明しているが、実際には、90程度しか流れなかった。分流ゲートが下がりすぎていたこと、土砂が堆積していたことが原因で、県が想定していた流量を流すことができなかった。維持管理が適正に行われなかったことが原因で、今回の浅野川洪水を回避することができなかった。適正に管理をしておれば、毎秒141立方メートルの放流ができたはずであり、天神橋地点で毎秒50立方メートルは少なかったはずであり、約40センチほどの水位が低下していた。その結果、角落とし部からの氾濫量は著しく小さかったはずである。洪水量などの基本数値について第三者委員会でも検証されておらず、最大の放流量などの基本数値を検証しないで以後の対策案を検討しても無意味である。」旨の知事宛の申し入れ書を提出した。 秘書課長の話では、「河川課、第三者委員会において、必要な調査分析をして基礎的な数値についても議論して河川管理についての対策案が検討しているはずであるが、申し入れについても伝えておく」旨の返答があった。 ●12月9日、知事への申し入れの後、記者クラブで説明した後、河川課で協議および説明を受けた内容は以下のとおりである。 河川課(椿川参事、鈴木課長補佐) @第三者委員会委員長への申し入れ書の返答 A第三者委員会での審議内容について B第三者委員会に示した技術根拠資料について C浅野川放水路の分流制限について D浅野川放水路の分流制限毎秒150立方メートルについて E浅野川放水路の最大流量毎秒150立方メートルについて @第三者委員会委員長への申し入れ書の返答 玉井第三者委員会委員長の返答(第三者委員会委員長あての「申し入れ書」に対して) 椿川参事からの説明を書き取りした内容は以下のとおりである。 1. 雨量観測点の分布について 入手可能の雨量から天神橋地点の平均雨量を求めるのは標準的な手法である。(第一回資料p.13) 2.雨量強度の確率について 理論ごとに異なるので200年確率の3時間雨量100〜153mmの閾内にあると推定されている。(p.20)3時間雨量強度は県が200年確率と説明して委員会はこれを了解した。 3.天神橋の流量再現について (第2回p.13)洪水痕跡から算定した。(第2回p.14)貯留関数法で算出した。同じ資料に示されている観測結果と比較検討が行われている。これらは標準的な手法であり、得られた結果も妥当なものであると判断している。 4.今回の委員会は「局所的豪雨に対応した新たな河川管理検討委員会」である。局所的豪雨による、これまで経験したことのない急激な水位上昇氾濫に対して地域の安全を守るために堤防河道の管理や水防の体制はどうあるべきかを考えることが主目的である。 雨量強度の確率規模は参考値で十分である。計算で推定された基準点における流量規模は観測された痕跡水位と時間変化をほぼ正確に表現しているので第2回委員会においては計算結果および計算手法は河川管理目的に用いることが十分可能であるという判断になった。 A第三者委員会での審議内容について 委員会の設置要綱の(検討事項)には「豪雨災害の検証や課題の抽出を踏まえて、」とあるが、委員会での審議に水防体制のあり方の検討ばかりではなく「豪雨災害の検証」を含む。(椿川参事) B第三者委員会に示した技術根拠資料について 第三者委員会に示した技術根拠資料はホームページ上で公開されているものがすべてである。(椿川参事) C浅野川放水路の分流制限について 犀川下流の整備が進んでいないためである。(椿川参事) (内川ダムでカバーされているので本来は分流制限の必要は無いはず)→浅野川放水路からの250に対して犀川の治水システム全体でカバーしており、内川ダムだけでカバーしているのではない。全体のバランスを考えて分流制限をしている。(鈴木課長補佐) 犀川の下流の整備水準を踏まえて、犀川浅野川全体のバランスを考えている。(椿川参事) D浅野川放水路の分流制限毎秒150立方メートルについて 情報公開で技術根拠文書が不存在となっているので、それ以上のことは言えない。 E今回の洪水の浅野川放水路の最大流量毎秒150立方メートル以上について (この流量の技術根拠を示してほしい。水位データ、現地の調査測量結果がでているはずで、その結果からすでに計算されているはずで、これ以上新たなデータがあるわけではないのでその根拠へ確定しているはずである。)→現在、精査中で提示できない。 【辰巳ダム日誌】2008.12.10(水) 10:00−16:30 収用委員会第二回審理(石川県立音楽堂大ホールにて) 今回も千人以上を収用できる会場で、地権者20人程度、傍聴人数十人、県関係者十数人、ほかに収用委員会関係者とまばらだったが、前回同様、熱い?議論のやりとりもあった。前回にひきつづき、再意見の陳述をしようと意気込んでのぞんだが、委員長の裁定で、地権者のうち、前回意見陳述していないものに限って陳述がなされ、前回に引き続いて陳述を考えていた者は肩すかしを食ってしまった。前回、陳述していない地権者が5.6名、ダム事業そのものの疑問、県財政への負担の分析、絶滅危惧種ミゾゴイへの影響などについて陳述を行った。午後には、起業者が用地の損失補償金額などについての説明をした。 委員長から、「収用委員会で審理をするのは、補償に関することであり、事業認定に関することは審理の対象外であるが、補償の判断にあたって考慮すべき点もないとはいえないので地権者の話は極力、聞くことにする」旨の説明が再三、ある。話しを聞く姿勢を見せてはいるが、地権者が集まりやすいように、平日以外の土日の開催や夜間の開催の要請には、一切、応じていない。意見を聞いたという既成事実を積み重ねることに終始しているといっていいだろう。 【辰巳ダム日誌】2008.12.19(金)10:00- 浅野川洪水に関する申し入れ――「浅野川洪水に対応した河川整備・河川管理検討委員会」の設置を―― 12月19日(金)午前10時、河川課長への申し入れ結果 浅野川洪水に関しての再三の申し入れに対して、はじめて第三者委員会委員長の返答が9日に来て、委員会の設立目的にてらすと検討内容は河川管理の一部について限られている旨のことを確認した。したがって、設置済みの第三者委員会だけでは不十分で有ることは明らかであり、当会は、河川整備のあり方を含めて全体を検討できる「第三者委員会」を設置するべきことを提案した。 椿川河川課参事は、「浅野川の河川整備全体のあり方については、河川課として考えている。そのための委員会の設置については今のところ考えていない。」と返答した。「来月、再び河川課へうかがう際は、その考えを聞かせてもらいたい。」と念押しして退去した。 玉井第三者委員会委員長の返答、申し入れ書、マスコミへの案内等の文書は、辰巳情報保管庫へ→クリック 【辰巳ダム日誌】2008.12.19(金)13:10− 辰巳ダム訴訟第三回口頭弁論 辰巳ダム訴訟の第3回口頭弁論が2008年12月19日、金沢地方裁判所で行われた。冬の小春日和のいい天気であった。 原告は28名(原告15名、弁護団13名)のうち13名が出席(原告の数名が傍聴席にいたが、これは原告の出席したことにならないという。)、被告は11名、傍聴人は50名程度、県職員も数名いた。裁判官と副裁判官?が2名、書記?が1名、ほかに職員が3名。 13時10分からはじまり、約8分後に閉廷となった。被告の準備書面の訂正書類の件と原告が求釈明をした理由を一言述べたこと、石川県が訴訟に参加したいという申し立てに対して原告、被告が同意して、今回の裁判はあっけなく終了した。(傍聴人からはかなり不評であった。裁判長の声はボソボソと聞こえず、やりとりも何のことかよくわからない。傍聴人へのサービス精神はゼロである。裁判員制度がスタートすれば少しは変わるのかな?) 次回の口頭弁論は次回2月6日(金)13:10−、次々回3月16日(月)13:10−の予定が決められた。 求釈明は、被告の反論の内容を具体的に示してもらったほうが、反論の実があがり、争点が明確になるということで、原告が被告に求めたものである。裁判官が、「被告の方で釈明すべき点は釈明してください。」と求めたのに対して、被告が内容を確認して釈明すると述べた。原告側は、釈明を待って反論するが、釈明の補充がなくても反論できる点については反論すると述べた。 平成20年11月11日づけで第三準備書面が被告(国)から出された。訴状に対する反論らしい反論がやっとでてきた。原告が5月に訴訟を起こして約半年が経過している。これに対して、原告側は、まず、求釈明をすることにした。反論に対する反論をする前にまず、被告の国の考えをより詳細に聞こう、言いたいことはすべて言ってくださいという意味だという。 裁判の後、場所を移し、傍聴に参加した人たちに対して、A弁護士から、裁判についての説明があった。 争点が多く、簡単な裁判ではない。弁護団も経験の少ない裁判なのでどのように進むのかよくわからない。裁判所も河川行政のプロではないので学習しながらやらざるを得ないので進行が遅い。半年もかかり、このような進行状態であるのはやむをえない。こちらが反論し、しだいに争点が明らかになってくる。争点に関して、証人が必要になってくる。証人にきてもらったりするには、手間や費用もかかってくる。かかるが、民主主義と環境はお金がでてこない。裁判をすすめていくためには、体力、財力がかぎられている。弁護団は手弁当でやっているが、それでも費用はかさむ。どのように対応していったらいいか難しい。応援団にがんばってほしい。もうひとつ、世論の力が必要である。市民が注目していることを裁判官にアピールするために、傍聴人が多くいることも重要である。 石川県も訴訟に参加することになったことについてはつぎのとおり。もともと県が辰巳ダム事業をプランニングした当事者であり、本丸が出てきたということである。裁決に拘束されることになるが、当事者として、直接、攻撃、防御できることになる、いいたい意見を言うことができるようになる。 差し止め訴訟について(碇山さん) ダム建設をストップさせるために差し止め請求はできないかという考えがある。これに対しては、訴訟を起こしても、同じ趣旨だから、同じ裁判になってしまい、実質的に意味が無い、力が分散して大変なだけになるので弁護団としてはやれないという。 辰巳ダム訴訟は無駄な抵抗か(碇山さん) 土地収用法の事例では、サル川の二風谷ダムの例がある。法律的には、原告は勝訴した。アイヌ民族の聖地を水没させるダム事業の事業認定は違法であるとした。しかし、出来てしまったダムを撤去するのは公益性に反するので、事業認定取り消しの訴えは棄却するとした。違法だが、取り消しまではできないという「事情判決」であった。法律論的には勝訴したが、実態では負けた。これが、現在の土地収用法の裁判の到達点である。 辰巳ダムでは、これを一歩すすめて、 「違法だから、取り消せ」までもっていきたい。 辰巳ダムの場合、あまりにもお粗末なので十分に勝算があると弁護団は考えている。正義のための負けを覚悟した裁判ではない。もし、取り消しの裁決がでれば、民法の妨害擁護請求権?がえられる、これは強い権利である。土地の名義が国から取り戻して所有権を回復すれば、ダムによって水没した土地を水を抜いて元に戻せと要求できる。出来上がったダムを撤去して原状回復させることができる。そうすれば、自然環境ももとにもどるのではないか。是非、やって、新しい判例にしたい。
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