辰巳ダム本体の建設工事の入札結果について |
辰巳ダム本体の建設事業の入札結果は、石川県/土木部監理課ホームページで公開されている。 http://www.pref.ishikawa.lg.jp/kanri/nyuusatu_keiyaku_jyouhou/sougouhyouka-kanrika.html 平成20年2月15日に請負企業が確定している。「入札結果報告」は、別表(表T-1)のとおりである。 12の特定建設工事共同企業体による入札の結果、飛島グループが68億円弱で落札している。発注者が決めた基準価格である予定価格は、約82億円、制限となる価格を下回ってもただちに失格とならない調査基準価格は、約68億円であり、飛島グループが落札した金額は、調査基準価格とほぼ同額となっている。その差額は、調査基準価格をわずか4,555千円上回っており、予定価格の0.056%、10000分の5.6に相当している。 「入札結果報告」に記載されている入札者の技術評価点、入札価格、評価値をグラフ化すると、別図F-1のとおりである。 この入札は、「総合評価方式による」もので、単に価格だけで落札者は決まらない。技術力が加味される。応札者の実績、技術提案などが評価されて、まず、持ち点となる技術評価点が計算され、これを入札価格で割った数値が、評価値となり、この評価値の最高点となったものが落札者となる。 技術評価点を見ると、150点台と110点台に大きく分けることができる。各企業体にこれほどの技術力の差はないだろうから、技術提案の相違がこのような差になったと推察できる。2つの企業により技術提案がなされ、他の企業はそれをまねたのではないか。 評価値をみると、技術評価点と同様に、230点前後と175点台のグループに、2グループに大別される。175点台のグループは、技術評価点の低いグループと一致している。技術評価点の低い方のグループは、入札価格で頑張る、つまり、低い価格を提示しないと技術評価点は上がらないので、入札価格を低く設定していると思いきや、前者のグループとほぼ横並びである。調査基準価格を下回ってもただちに失格となるわけではないのでもっと低い価格を提示してもよいのではないかと思われるが、そうはしていない。あまり、落札しようという意欲は感じられず、おつきあいのようである。 評価値が最高の232.54である、飛島グループが落札した。評価値が230から232台までわずかな差のなかに、7社もあり、入札価格もその7社は、67.75億円から、68.18億円の違いであり、最大と最小の差額は0.43億円である。これらの企業は入札価格で頑張れば、つまり低く応札すれば、落札するチャンスはあったと思われるが、横並びであり、いずれも落札しようという意欲が感じられない。 ほとんどの応札社が調査基準価格で応札すれば、技術評価点157.63と最も高い飛島グループの評価値がそのまま最高点となり、落札が決定する。 表T-2に技術評価点の降順の一覧と評価値の降順の一覧を示す。ほぼ、最初に見積もられた技術評価点の順位が評価値の順位となっている。 表T-3に落札者と同じ評価値になる入札価格eを示す。この価格以下にすれば、落札者の評価値を上回り、落札できる。15百万円から74百万円程度値引きをすれば、勝つチャンスがあった企業は6社もある。予定価格からの値引きが13億円から14億円もしているにかかわらず、最後のつめでわずかな値引きをしていないことになる。予定価格の0.19%から0.91%さらに値引きして応札すれば、6社も勝つチャンスがあったのである。激しく競争しているように見えて、ゴール直前で故意にスピードをゆるめているように見える。相撲の八百長と同じで、全部の勝負をガチンコでやれば、身が持たないのと同じかなとも思う。真剣に、価格競争がおこなわれた形跡はないように思う。 ただ、予定価格の82.93%となっている調査基準価格にほぼ近似した価格で落札されているので、高い価格で落札され、競争を妨害され、発注者に損害を与えたということにはなっていない。 【参考】最低制限価格と調査基準価格 地方公共団体の契約は、地方自治法の規定(第234条第3項)により、経済性の原理を旨として競争入札によるべきことを原則とし、その場合には、予定価格の制限の範囲内で最低価格札の者を自動的に落札者とすることとされています。 しかし、落札となるべき入札価格が不当に低価格であるときは、契約の履行が不確実になるようなこともあり、地方公共団体が不測の損害を被る恐れや工事品質の低下が懸念されます。 そこで、契約の内容に適合した履行を確保するため、最低落札方式の例外として、あらかじめ最低制限価格を設け、最低制限価格以上の価格で入札した者のうち最低札の者を落札者とし、最低制限価格未満で入札した者を排除する制度を最低制限価格制度と言います。 また、あらかじめ調査基準価格を設け、調査基準価格を下回る入札をした申込者に対し、入札価格積算の根拠、当該契約の履行体制などについて調査を行い、調査の結果、当該契約の内容に適合した履行が当該申込みに係る価格で行えると認められる場合に、その者を落札者とする制度を低入札価格調査制度と言います。 東京都水道局では、最低制限価格制度又は低入札価格調査制度が適用される土木工事は、予定価格により、以下のとおり区分しています。 最低制限価格制度
予定価格4億円未満 低入札価格調査制度
予定価格4億円以上 |