ある目的を達成するために最も簡単で安価な方法を求めることが技術である。ところが技術を売り物に生業をたてているものにとって簡単で安価な方法はうれしくない。土木事業のほとんどは公共事業で国、地方の行政がかかわる。行政にとっても、ほとんどの社会基盤ができあがりつつある現在、事業量の確保が困難になりつつある。簡単で安価な方法は縄張りとする事業の縮小につながり、のぞむところではない。公共事業の配分に関与を望む政治屋にとっても、パイが小さくなることは自分への実入りが少なくなることを意味する。不効率で複雑で高価な買い物をするための「効能書き」の役割を土木技術がになうようになった。知らぬは税金を負担する住民だけである。
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