辰巳ダム日誌(11月)

【基本高水に関する意見書の提出:20日、事務局へ】
 
  平成14年11月20日付けで犀川水系河川整備検討委員会事務局(河川課)の計画係長へ「犀川の基本高水に関する意見書」を提出。

  加えて、筆者作成の冊子も提出した。
  @犀川の「基本高水」に関する意見書、
  A筆者の著作物4冊


 前者は、文字通り、犀川の基本高水に関して筆者の意見を説明する文書であり、このまま全員に配布するよう申し入れた。後者は、「基本高水」、「ダムによる治水」に関して委員の認識を深めるための文書でり、これも全委員に配布するように申し入れた。著作物の題名は、『転換期の私的・土木技術論考』、『「犀川水系辰巳ダム治水計画に関する所見」についての意見と反論および問題提起』、『「砂漠のキャデラック」を読む』、『金沢の治水を考えるキーワード』である。
文書および冊子を委員全員に配布するかどうかの判断は委員長にゆだねるとのことであった。いずれも、委員長にすべてを取り次ぐことについては、了解したとのことであった。
 どのような判断基準について基づいて配布をしたり、しなかったりするのかについての答えは無かった。一つ、いろいろな意見がよせられ、物理的に大量であれば忙しい委員の方のために事務局で整理することがあるかも知れないという意味の話はあった。そのような意見は当方の文書以外に、今のところ無いようではあるが。
 石川県の治水の考え方と対立する意見であるが、技術的な議論を促進する意味では重要な「意見書」ではないかと考えている。このような、県の考えと対立する意見であっても委員全員に配布するのか、尋ねたが回答はなかった。もし、委員会で技術的な議論をするのであれば、県の考えに対立する考えであっても議論を深めるために役に立つ。根拠のあいまいなものでもなく、時間をかけて調査したものであり、資料的な価値もあるので議論を実りあるものにするには全員が読むべき文書である。
 配布する、配布しないの判断基準について、次回の29日前までに明らかにして欲しいと迫ったが、回答はなかった。
 以上。
 追記:入り口の判断基準もよくわからないようでいいのかな?ようわからん!(>_<)
 「歴史に残る委員会にしたい」という委員の意見もあったが、こんな調子じゃ、まともな委員会にならない気もするけど!(-_-;)

平成14年11月20日

【第2回犀川水系河川整備検討委員会を傍聴:29日2時〜4時、厚生年金会館】

 第2回犀川水系河川整備検討委員会を傍聴した。前回と同じく、出羽町の厚生年金会館で2時から4時まで。専門的な話であったが、結構、議論が盛り上がっていた。県担当者に対する厳しい意見がいくつもあり、それに対して県の回答はもう一つであいまいな答えが多かった。しかし、このような議論を積み重ねることにより、県の技術力や行政能力の向上が期待できるのではと感じた。
 今回の県の説明では平成7年8月30日の降雨波形のケースを示して、「基本高水」(犀川大橋地点で1,750m3/秒)とした。これに対して、委員長は、これは(筆者補足:「基本高水」ではなく)一つの例を示したものであると言明した。関連して、県が選定した24ケースについてそれぞれ説明すると委員会の時間が20倍もかかるとも述べた。
委員の提案もあり、「基本高水」については、専門部会で検討することとした。専門部会で結論を出した後、その報告を委員会でするというスケジュールとなった。専門部会での検討は、2ヶ月程かかるという県担当者の話、また今委員会での問題提起についての準備などにかなりな時間を要することなどの委員長判断から、次の委員会は2月か、3月に開催される予定となった。
専門部会は、委員長が2週間以内にメンバーを決めて開催されることになった。委員会委員からは辻本委員、川村委員が指名された。
 この専門部会に関して、傍聴者の一人(北間の変人と言う人もいるらしい!)が「専門部会は公開で行われるのか?」と確認したところ、委員長は「委員会と同じく、公開で行う」と返答した。

 当方は、ただ一つ、「基本高水の算定結果」が関心事であった。会議の後、県の情報公開センターで会議資料を受け取って自宅へ帰り、その表を確認して驚いた。24ケースのうちの最大値が1,750m3/秒、2番目が1,312m3/秒と著しく小さい。10番目が1,043m3/秒であり、11番目からは1,000m3/秒未満である。国土交通省の「河川砂防技術指針(案)」に準じてカバー率を50%とすると
938m3/秒(13番目)が100分の1の「基本高水」となる。なななんと、当方が半年かけて調査した、「20世紀の100年間に発生した最大値842m3/秒」とほぼ符合するではないか!?!
 今日の委員会の話の中で、河川工学の権威でもある委員長は100分の1の確率の意味は、100年に1回という意味ではない、100年に1回よりももうちょっと多く発生すると説明した。半年かけて調査したことが十分以上に価値があったことを確認した。

追記:当方の提出した意見書については、「今後の委員会での議論でその趣旨に添えると判断した」旨の説明があったので了解した。

平成14年11月29日
中 登史紀

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