上水道のページ ■辰巳ダム日誌
                          辰巳ダム日誌(2006年2月) 目次
◆2006.2.2 住民監査請求にかかる意見陳述。
2006.2.14 利水にかかるダム容量の情報公開と用地交渉
2006.2.22 住民監査の結果について、石川県監査委員事務局から22日付けの通知を23日に受け取り、26日に内容確認。


【辰巳ダム日誌】2006.2.2 住民監査請求にかかる意見陳述。
住民監査請求の意見陳述について

 平成18年2月2日午後3時から、監査委員事務局会議室で、監査委員に対して、1時間の説明の機会が与えられた。その後、県河川課の弁明を傍聴した。

 監査委員は専門的な知識が乏しいと思われるので、提出文書の単なる説明ではなく、わかりやすい図を示して説明することにした。昨年9月28日に知事宛に提出した「申入書」が図入りで最もわかりやすくまとめてあると考えたので、これを今日、追加文書として提出し、この中の添付図を示して説明した。

――基本高水流量と計画高水流量について――
 基本高水、計画高水の過大さに関して、過去の最大規模の洪水との比較、約30年間の流量観測記録による分析による比較、犀川と浅野川との比較、手取川との比較、「基準」の考え方による基本高水の決め方などを示して、説明した。

――堆砂について――
 犀川ダムの堆砂について、計画の仮定が現実とはあっていない。湛水を始めて40年が経過し、当初の仮定と実際とは食い違っており、現実の状況をあてはめて、今回の見直しをしないと、ダム容量が有効に活用できないことを実際のデータを示して説明した。

 あっという間の一時間であった。わかりやすく、説明したつもりで、県の想定洪水量は著しく大きいという理解はしてもらえたと思う。

 その後の県河川課の弁明(河川課長、辰巳ダム建設事務所長含め7,8人のメンバー)は、聞くに耐えないひどいものであった。「全国的な基準により行われている」、「委員会で専門家の審議を受けている」、「全国で一般的に用いられている解析方法で行われている」、「業務は適正に行われている」ということを延々と、繰り返し、1時間以上の弁明があった。課長以下、いつもの公開の委員会よりも緊張している様子がうかがえた。議会における答弁も似たようなものだろうと想像した。結局、聞き手は素人だから、この程度の弁明で誤魔化されてしまうのだろう。委員の一人から、いくつかの簡単な質問があっただけである。

 たまに河川課の連中に刺激を与えるには若干の効果があるかもしれない。その程度かな?

 今回の住民監査請求は、事実に反し、明らかに過大な流量を基にした検討だから、公金の不当な支出に当たるという問題提起だが、いずれ、「基準による計画」、「議会の議決」、「審議委員会の諮問」、「国の指導及び審査」を受けたものだから、不当な支出でないとの返答が返ってきそうであるが、いずれにしてもどのように返答してくるか?

 この住民監査請求のしくみは、違法あるいは不当な公金の支出に関して行政内の監査を求め、その監査結果に不服があれば、裁判所へ住民訴訟を起こす道を用意している。今回の住民監査請求では、状況証拠ではあるが多くの証拠を提示した。しかし、どのような結果がでようと、このまま、つぎの段階へは進みにくい。なぜなら、無駄な公共事業であっても、当方が無駄であることを立証しないといけない羽目に陥るので、あまり、深入りはできない。当然ながら、治水事業の有効性は事業者である県が立証責任を有する。こちらはそれをチェック、批判することである。

 しかも、今回は、事業の報告書作成の費用が不当な公金の支出であったとしても、数百万円と金額もわずかであり、240億円の事業そのものが不当な支出であるとの訴訟の前段階の「問題点の整理」ということに意義があると考える。

 今回は、過大な流量に関する、複数の状況証拠を提示した。そして、本命の争点である「過大な想定洪水量」、つまり、県の基本高水ピーク流量1750m3/秒は、「建設省(国土交通省)河川砂防技術基準」によって決められ、基準に違反してはいないが、計画規模は1/100超過確率ではない、計画規模はどれだけか?数千年規模?有史以来発生したことの無いような規模ではないか?を追加文書で提示した。

平成18年2月2日
中 登史紀

【追加文書】
「措置請求の追加事項について」
その1 基本高水流量が過大について
 図1 犀川水系平面図(省略)
 図F1〜F8(省略)
その2 犀川および浅野川の実測流量データによる確率流量の計算(省略)
 図2 グラフ犀川の年確率と流量
その3 図3 既往最大洪水量と確率流量と基本高水ピーク流量
その4 手取川との比較(省略)


【辰巳ダム日誌】2006.2.14 利水にかかるダム容量の情報公開と用地交渉
利水ダム容量の根拠に関する情報公開
2006年2月14日午前10時頃〜11時頃、石川県行政情報サービスセンターにて
●犀川水系の渇水対策に必要な容量(H15年時点、基本方針策定部会平成15年6月10日、資料p.76)
犀川ダムで不足する容量
 安全度1/10の必要容量 1230万m3
 犀川ダムの既存利水容量 1125万m3
 犀川ダムで不足する容量 △105万m3
内川ダムで不足する容量
 安全度1/10の必要容量 610万m3
 内川ダムの既存利水容量 480万m3
 内川ダムで不足する容量 △130万m3
犀川水系で不足する容量
 △105万m3 + △130万m3 = △235万m3

●犀川水系の渇水対策に必要な容量(H16年時点、第2回施設ワーキング平成16年3月26日、資料p.32)
犀川ダムで不足する容量
 安全度1/10の必要容量 915万m3
 犀川ダムの既存利水容量 765万m3
 犀川ダムで不足する容量 △150万m3
内川ダムで不足する容量
 安全度1/10の必要容量 620万m3
 内川ダムの既存利水容量 460万m3
 内川ダムで不足する容量 △160万m3
犀川水系で不足する容量
 △150万m3 + △160万m3 = △310万m3

いずれも工水0.46m3/秒を条件とした計算。ダム必要容量が235万m3から310万m3に75万m3増えたのは、「営農実態に基づくかんがい期間の見直しにより変更」によるものとの記載あり。

 公開により、各数値の根拠を確認。
 ところが、以下の各用途別のダム必要容量が確認できず。
 かんがいダム容量 59万m3
 上水道ダム容量 909万m3
 河川維持用水ダム容量 362万m3

 水収支計算はすべてを合算してやっているので、個別ではわからない、個別で計算するともっと大きい数値になる。合算してすると最も小さい数値になるという。
 かんがいの59万m3は、便宜的に?当初の計画のままにしているという。水収支の計算をやり直したのだから、変わるはずではないか。さらに、「営農実態に基づくかんがい期間の見直しにより変更」で75万m3を増やしているのだから、変わるはずである。どんぶり勘定ではないか?この数値の根拠を示すべきではないか?

 営農実態の変更によるダム容量の増大があれば、受益者負担の原則により、営農者がこの増工のダム容量分の建設費を負担するべきではないか?


用地交渉の件
2006年2月14日午前11時頃〜12時頃、河川課会議室にて
用地担当者:辰巳ダム建設事務所建設課建設係長の橋本氏、同事務所庶務用地課用地専門員の森下氏
交渉内容:
@共有地主となった経緯
A用地の概要説明(用地の所在および登記名義人の確認)
B辰巳ダムの問題点の説明

@共有地主となった経緯
 用地担当者に以下のように説明。
平成7年以来、辰巳ダム計画について河川課と河川工学的な視点から議論を続けてきた。新構想の辰巳ダム計画となり、最終的な報告書を検討した結果、筆者の考え方をまとめ、9月の28,29日に知事と河川課長宛に提出した。結論は、「治水、利水の両面に関して必要性も緊急性も無く、辰巳ダムは不要」である。これまでは、土木エンジニアとして中立的な立場であったが、不要と結論がでたので絶対反対の立場へと変更した。その後、11月に反対の立場から共有地主になったものである。
 筆者が提出した疑問に県河川課はほとんど回答していない。回答がないので用地買収に応じられない。

A用地の概要説明(用地の所在および登記名義人の確認)
 用地担当者から、用地の概要の説明有り。
土地の所在と地番は、瀬領町ヌ131-4 原野13m2のうちの1/1000が権利持ち分、概算金額54円。
(雑感:ところで考えるに、1m2あたりにすると、4150円となる。単純に日本の面積を掛けると1600兆円になる。ほとんど価値が無いと思われる土地が国民の全金融資産に匹敵するなんて考えられない。一桁か二桁間違っているな。)

B辰巳ダムの問題点の説明
 当方の辰巳ダム不要の考えを用意したパネルを使って、約1時間ほど、用地担当者に説明。いくつかの反論有り。
 担当者の反論:辰巳ダムを造れば治水安全度が増すので有効ではないか?→辰巳ダムを造っても辰巳ダムが想定する降雨があれば、金沢市内全域で氾濫することを説明。治水は、水路、枝線の河川、支川、本川の全体の治水システムがバランスよく、安全度をあげないと有効でない、辰巳ダムで本川の治水安全度を異常に過大に大きくしても、全体として治水安全度はあがらないことを説明。
 担当者の反論:過去100年の洪水は小さくても今後、大きな洪水が来る可能性があるのではないか?→ 基準点の犀川大橋地点の流域は8,9割が森林で昔も今も変わらない。流出が大きくなる要素はないと説明。
 など。

【辰巳ダム日誌】2006.2.22 住民監査の結果について、石川県監査委員事務局から22日付けの通知を23日に受け取り、26日に内容確認。
 ・監査の結果は、請求を棄却!
 住民監査請求に係る監査結果について(通知) 平成18年2月22日付け
 「監査結果」に関する請求人中 登史紀の感想 平成18年2月27日



 

 犀川の治水に関して、議論しています。金沢の洪水コーナーへ
辰巳ダム日誌一覧表へ| ダム日誌2005.11へダム日誌2005.12へダム日誌2006.1へ||ダム日誌2006.10へ

辰巳ダムトップページへもどろうかな