■辰巳ダム日誌 | |||
辰巳ダム日誌(2005年6月) 目次 ◆2005.6.15, 石川県行政情報公開センターで、「平成15年度犀川水系河川整備計画検討業務報告書」「浅野川の流下能力根拠文書」の公開 ◆2005.6.16, 県央土木事務所の浅野川の管理の係へ電話、土砂除去を定期的ではなく大きな洪水などの後、随時、浅野川の余裕高を0.8mではなく、なぜ1.0mか? ◆2005.6.17, 犀川中流/下流の踏査 ◆2005.6.18, 浅野川中流/下流の踏査 ◆2005.6.23, 犀川ダムおよびダム管理事務所の見学 ◆2005.6.24, 犀川ダム利水取水に関する運用管理についての聞き取り調査(金沢市企業局発電管理センターで西所長より話をうかがった。) ◆2005.6.24(2), 金沢の用水等についての金大市民講座第1回は、犀川水系河川整備基本方針の策定についての思考、玉井教授。 |
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【辰巳ダム日誌】2005.6.15午後2時、行政情報公開センターにて 石川県行政情報サービスセンター、立ち会い者(河川課金井氏、宮島氏、県央土木事務所浜上氏、辰巳ダム事務所橋本係長、南氏、公開窓口担当者) 今回の公開はつぎの2点. ●新構想の辰巳ダムの根拠となる「平成15年度犀川総合開発事業(辰巳ダム建設)犀川水系河川整備計画検討業務委託報告書」の公開. ●浅野川(大野川合流点〜放水路地点)の計画と最新の流下能力根拠文書である「平成14年度大野川床上浸水対策特別緊急工事(設計)業務委託(その2)」、「平成14年度二級河川森下川広域基幹河川改修工事(設計)業務委託(その2)」の中の「現計画流下能力図」(平成14,15年に検討)の公開 辰巳ダム事務所、河川課、県央土木事務所の担当者から説明を受けた. [前者の辰巳ダムの件] 前者については、前回、報告書を電子記録(メディアはDVD)を受領していたが、@図や表のプリントアウトは不鮮明で読めない(pdfファイルのプリント)、A読みにくい(ページを飛ばしたり、ページめくりをしながら見て検討するには不自由)ので改めて公開してもらい、すべて紙にコピーすることにした. 前回受領した電子記録を見て、今のところ、気づいた点について2,3の項目について尋ねた。ただし、この場は情報公開の場で質問する場ではないとのことで、当方としては改めて河川課へ質問することにしている。しかし、折角、お歴々の方々が来られているので当方の考えを話した。(実質的には、公開窓口で筆者が独り言を言っているのと同じである(^_^;)) @犀川ダムの付加高さの変更によるダム容量削減(70万m3)の必要? 既存の犀川ダム、内川ダムも新辰巳ダム計画の3ダム連携の考えにより、ダムの容量配分等の変更をした。犀川ダムの洪水位とダム天の差である「付加高さ」を新しい基準にあわせて0.8m→2.0mとした。その結果、ダム容量が70万m3を削減した。 去年、3ダム連携の話がでて、この話が持ち上がったがそれ以前は、付加高さを変更しないといけないという話は聞いたことがなかった。ということは安全上問題があるとか、緊急の要件でもなさそうである。無理に変更する理由はないと思えるが。 犀川ダムの下流は人家は無く、仮に波浪であふれたとしても問題がないような気もする。 付加高さを設ける意義はなにか?「河川管理施設等構造令」に記述があるが、現在、確認中。 建築基準法が変わったからといって古い建物を新基準にあわせて建て直すこともないと思うのであるが。古いダムはいくらでもあり、新基準になったからといって改造しているわけでもないだろう。石川県の古いダムは改造あるいはダム容量の削減しているのか? A犀川ダムのダム堆砂容量拡大(55万m3)の必要? 内川ダムは堆砂のスピードが若干遅く、建設後約30年が経過したが、現時点から100年後を考えても現在のダム堆砂容量でまかなえるという。一方、犀川ダムは堆砂の進行スピードが早く、約40年が経過しており、現時点から約100年後を考えるとダム堆砂容量が不足する。そこで55万m3堆砂容量を拡大するという。その分、利用できるダム容量が削減される。 将来の100年後の理想の姿としてダム堆砂容量を考えるのはやぶさかではない。しかし、そんな先のことに現時点で対応する必要はない。現在のダム容量活用の状態を当分続けてよいのではないか。50年、60年先に堆砂容量が満杯になった時に変更すればよい。 最大の疑問は、河川整備計画が20〜30年を目途に作成されるものである。この整備計画の期間とダムの計画との時間的整合性がとれていない。20年〜30年の整備計画にあわせてダムの容量配分の変更をするべきである。ダムの堆砂容量の部分が使用されないで無駄になる。55万m3部分は現在まとめられた河川整備計画では全く活用されず、無駄となる。 B犀川のパラペット(コンクリート壁の堤防)を計画河川断面に正式に含めているのか? 犀川、浅野川の両岸の堤防の上にコンクリートで造られた、高さ1m弱の壁が連続している。昭和27,28年頃、両河川で洪水氾濫がたびたび発生した。市街地を洪水氾濫から守るために緊急対策として、築造されたものである。 堤防は普通、土堤であるが、コンクリート壁のものは「特殊堤」と定義。 河川の流下能力に含めているのか? 含めた場合、含めない場合の流下能力は? 含めることができるなら、ダムの有力な代替案になりうるのではないか?施工期間は1年、費用は1/100程度と極端に安価になる。 C河川維持用水を確保するための河川管理がなされていない ダムで河川維持用水をどれだけ開発しても、下流で河川の水管理をしていないので、水はすべて農業用水の取水口に入ってしまい、維持用水は下流へ流れない。 [後者の浅野川の件] 浅野川の大野川合流点から約14km上流の放水路地点までの流下能力を示す「現計画流下能力図」をもとに説明を受けた。 流下能力に関する注目点は以下のとおりである。 @大野川合流点付近で流下能力が著しく不足。区間は短いが、計画高水460m3/sに対して半分以下の220m3/s程度。この理由は堤防の沈下か? A浅野川大橋地点の前後、約500m程度が能力不足。計画高水460m3/sに対して8割程度の380〜400m3/s程度。この理由は密集地のため、計画通りの河川幅を確保できなかったのか? 筆者感想:平成10年の豪雨の際の様子は、満杯近くに感じたが、能力不足も要因の一つか。データでは288m3/s程度。 B他に、若松橋、田上大橋付近に一部、能力不足地点がある。 C浅野川大橋の不足区間の下流は潟津用水堰までの約6kmは流下能力は大きく、半分以上は600m3/s程度ある。この理由は不明。 D未整備地点(下水処理場横の元の墓地地点、昌永橋下流地点)の流下能力は?不明。 E浅野川大橋のかまぼこ断面部の流下能力は?不明。 F流下能力図の堤防天端はパラペット(特殊堤)の頭。確認。 Gパラペット無の流下能力。不明。 H余裕高h=1.0mの理由。不明。「河川管理施設等構造令」では0.8mであるが。 「河川管理施設等構造令」によると、 流量200m3/s以上500m3/s未満では、0.8m 流量500以上2000m3/s未満では、1.0m である。計画高水460m3/sであるので、0.8mでよいはずである。 安全であるからよいのか?過大設計か? 基準だからという説明が多いが、ここで基準を遵守しない理由は何か? また、石川県の河川の種々の計画書を見るといたるところで余裕や安全を見ている、結果的に一体、どれほどの安全度を上乗せしたのかわからない、また、施設群の安全度のバランスも不明。 流下能力の過不足の根拠の確認のために、「平成14年度大野川床上浸水対策特別緊急工事(設計)業務委託(その2)」全部の公開を請求した。 【辰巳ダム日誌】2005.6.16(木) 県央土木事務所241-8201 浅野川の中の土砂の堆積について 昨日の情報公開の際に説明を受けた限りでは、浅野川に土砂が堆積して流下能力が不足しているということはないようであった。毎年、土砂を除去して断面を確保しているのか、あるいは土砂があまり堆積しないのか、確認するために土木事務所へ電話をした。石川県の土木施設の建設管理のために県央土木事務所があり、河川管理のための部署は、河川砂防課河川係、維持管理課河川管理係があり、前者は建設と建設に準ずる土砂除去工事を担当、後者は建設した施設の維持等を担当である。土砂が堆積するのかどうか、堆積した土砂の除去作業の有無、除去に際の判断基準、方法、頻度等に関して河川砂防課河川係(前氏)に尋ねた。 浅野川では土砂の堆積はそう多くない。定期的に除去するのではなく、台風の襲来などによる災害があった場合、パトロールして調査し、土砂除去をするかどうか、決めている。去年は秋に台風の襲来などで上流部の護岸の崩壊などの災害が多くあった。そのため、調査の後、冬の工事として2カ所で土砂除去工事を実施した。いずれも放水路地点の上流で、舘町あたりで1200m3、袋板屋から東町付近で2000m3、合計3200m3。放水路から下流では実施していない。 以上。 追記:浅野川の余裕高を1.0mとしている点(200以上500m3/s未満では0.8m)について、前氏は、「構造令では0.8m以上としているので反してはいない。これを決めた当時の担当者は、金沢の中心市街地を守るために安全を考慮したのだろう。」と述べた。構造令を確認したところ、確かに「、、、値以上とするものとする。」とある。 ただ、構造令を読んだ限りでは、浅野川の規模(200以上500m3/s未満)の川では計画高水位から余裕高0.8mをどの地点でも少なくともとりなさい、最低の数値が0.8mで、凸凹があって、これ以上、大きいところはいいですよ、これより下回るのはだめですよ、という風に理解できる。 前氏の理解は、最低0.8mであるが、下駄をはかせて最低1.0mにしても構造令に反していないですよという風に理解している。 ちなみに余裕高は、堤防は土堤が原則であり、越水に極めて弱い構造であるので、風浪やうねりによる一時的な水位上昇により越水を起こさせないように配慮して設けるものである。したがって、河川の流量、大きくなれば川幅も広くなり、風浪による波の高さも比例して大きくなる。よって、流量に応じて余裕高さを大きくするようにしている。 前氏の理解のように、浅野川が心配で余裕高を大きくするのであれば、(20cmの下駄をはかせている!)、同様に犀川も同じように下駄をはかせて、1.2mとする必要があるのではないか?(犀川は流量が500〜2000m3/sの範囲で大きいので構造令の余裕高は1.0m)あるいは、0.8mで心配なら、0.9mでもいいのではないか?そもそも0.8mと決めても安全を軽視したことになるのか?浅野川は堆積する土砂も少ない、女川といい、あれる川でもない、どうしても、安全を見なければならないと考えた理由が不明である。 追記2:パラペットについて、前氏の指摘により、パラペットについての構造令を確認した。当方の理解があいまいであった。昨日の県の担当者の説明、浅野川のパラペットの天端が堤防天端は必ずしも正確ではないことがわかった。 河川の堤防天端=計画河床+計画高水位+余裕高 パラペットの天端=土堤の天端+パラペット高さ 土堤の高さは計画高水位以上であること。パラペットとは「コンクリート構造もしくはこれに準ずる構造の胸壁を有するもの」であり、パラペット構造の特殊堤である。高くする場合でも1.0m、できれは0.8m以下。 パラペットの天端がかならずしも堤防の天端とはかぎらない。
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