平成16年10月15日
石川県知事 谷本 正憲 殿
辰巳ダム事業の非緊急性に関する「申入書」
――辰巳ダム築造は貴重な税金の浪費!――
犀川は浅野川に比較して著しく治水安全性が高い
犀川の河川整備を考える会
代表 中 登史紀
(住所)金沢市小立野3−12−28
辰巳ダムの根拠となっている「犀川の計画洪水量(基本高水流量)」が過大であり、辰巳ダムが無くても1/100確率降雨に対して金沢は安全であります。犀川水系河川整備検討委員会、犀川水系流域委員会、石川県河川課に対して意見書、申入書の提出を通じて、再三にわたり、主張してきました。これに対して、いまだに科学的で論理的な回答はありません。
計画洪水量(基本高水流量)が過大であると主張する理由は、つぎの2点です。
@ 犀川の過去の最大規模の洪水と比較して大きすぎる。
A 基本高水流量は、決定に統計手法の誤りがあり、1/100確率の流量ではなく有史以来発生したことのないような流量である。
@について
20世紀の100年間で発生した最大規模の洪水は約800m3/秒前後であり、県の主張する1/100確率の基本高水流量1750m3/秒は異常に大きい流量です。
Aについて
1/100確率の雨が2個あり、その内の1つを選択すれば1/200となる。県の想定値は、24個の雨から1つを選択しており1/2400確率になります。基本高水流量が1750m3/秒と著しく大きくなったのはこの理由によるものです。
これまで犀川のみに着目してきましたが、今回は隣接の浅野川と比較してみました。浅野川も金沢の治水の安全にとって犀川同様に重要です。その結果は、
B 犀川は浅野川と比較して著しく治水安全性が高い。
Bについて
浅野川、犀川の計画洪水量(基本高水流量)の推移は次頁の (図)犀川・浅野川の計画洪水量の推移 のとおりです。辰巳ダム以前で浅野川710m3/秒、犀川1600m3/秒です。
20世紀100年間の最大規模の洪水4ケースに対する、両河川の治水の安全性の比較を次々頁の(図) 犀川と浅野川の治水安全性比較 に示しています。犀川の場合、流下能力(犀川大橋地点の基本高水流量1600m3/秒)に対して過去の最大規模の洪水の比率は44%〜58%で半分程度です。一方、浅野川は流下能力に対して52%〜81%となっています。
浅野川は内川ダム築造時点の流量に据え置かれています。今回の犀川水系河川整備基本方針の策定と同時に行われた見直しでも1/100確率相当です。この浅野川よりも明らかに治水についての安全性が高い、犀川の治水安全性を緊急に向上させなければならない理由は見あたりません。辰巳ダムは不要です。
以下は、エクセルファイルです。
(図) 犀川・浅野川の計画洪水量の推移(犀川大橋地点・天神橋地点の基本高水流量の推移)
(図) 犀川と浅野川の治水安全性比較−−基本高水流量に対する過去の洪水量割合による比較−−
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