【本川の安全度について】
事務局の説明では「鞍月用水堰から雪見橋の間までの改修必要区間約600m区間で、流下能力の一番小さいところで500m3/秒、確率にして1/5程度」である。
この地点で氾濫したのは、明治7年7月(1874)の洪水である。それ以来、氾濫はない。
県は「近年の最大流量」で
表1.基準点犀川大橋における近年の最大流量推定値
生起年月日 基準点流量 摘要
S36.9.15 1,211m3/秒 第二室戸台風
H.10.9.21 1,192 台風7号
S.47.9.16 1,058 台風20号
と説明している。
最大の第二室戸台風時にもここで溢れていない。
県の説明は矛盾しているのではないか。
県の説明では、現在(2004年)までの130年間、この地点で500m3/秒を超える出水はなかったことになるのではないか。
5年確率の洪水が130年もない確率は、100年確率の洪水が2,890年ないことと同じことになる。
5年確率の洪水は、おおむね5年に1回かそれよりもちょっと多く起きるのではないのか。
100年確率の洪水は、おおむね100年に1回かそれよりもちょっと多く起きるのではないのか。
【支川の安全度について】
本川の安全度は1/100、支川の安全度は1/5〜1/50という説明があったが、支川の安全度は1/2〜1/50ではないのか。十人川の治水安全度は1/2である。
【かんがい用水についての委員長および河川課長の説明は疑義がある】
洪水調節専用ダムに関して、かんがい用水関係者(吉田明金沢市用水連合会会長)からつぎのような意見が出された。
吉田委員「農業関係、農業用水なんですけれども、洪水調節専用ダムと言われておりますが、われわれ農業者は、夏場の渇水期が、辰巳ダム建設によって、これまで番水あるいは調節した苦い経験があるのですが、夏場の水量もおよぼすことができるという(注:一部聞き取り不明瞭)、期待を込めていたのですが、今日はそんな話が全然出ていない、ただ、洪水調節にだけに重点をおかれているような気がしますけれども、夏場の渇水期にはどういうことになるのでしょうか。」
玉井委員長の説明「利水はですね、辰巳ダムで考えられていたものは犀川ダム、内川ダムで受け持つ、、、ということになる。」
吉田委員「はい、了解しました。」
高野河川課長の補足説明「ちょっと補足させていただきます。、、、、旧計画で持っておりました河川の維持流量の容量を内川ダムと犀川ダムの既設の2ダムに受け持ってもらうというのが大基本でございます。したがいまして、旧計画で持っておりました、河川の維持流量の流量はそこで十分に確保される、下流の方の既得の農業用水とか、いろいろな水利権がございますが、そういうもの調べた上で、水が行き渡るような計画を再度見直して、再構築した。そういうことでございます。」
委員長も河川課長もダムに関しては河川維持用水の確保についてだけしか言及していない。旧辰巳ダム計画の利水は「河川維持用水の確保」だけで「かんがい用水の確保」は考慮されていない。河川課長は補足説明の「再度見直し」はかんがい面積が約1/6に減っているからかんがい用水を約2/3に減らすという内容である。かんがい用水を減らす議論はあったが増やす議論はしていない。
農業関係者は用水の安定供給を渇水期に確保できると誤解をしているようである。県が確保しようとしているのは、河川維持用水の確保である。かんがい用水ではない。県が確保した維持用水をかんがい用水で取水するとすれば、河川に維持用水が流れない。
内水面漁業権者には河川維持用水を確保していつも流れる川にしますよといい、一方で農業関係者には渇水期に川が枯れてもかんがい用水を供給しますよといっているようなものである。矛盾していませんか。
河川課長は「水が行き渡るような計画を再度見直して、再構築した。」と述べているが、その中身は何でしょうか。かんがいの面積の実態を見直して、かんがい水量を約2/3にしただけではないのですか。それ以外の再構築したと称する検討内容は何ですか。
また、かんがい用水の見直しに関して、当事者のかんがい用水関係者との議論は行っているのでしょうか。行わなければ絵に描いた餅で何の役にも立たないのではないでしょうか。
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