辰巳ダムの代替案(つづき)

河床掘削案(河道改修D案)について

 河道改修4案のうちの河床掘削案(D案)について意見をいただいた。

 当方の記載は以下のとおり。

 
河道改修4案のうち、河床掘削案(T教授によると、水流によって河道の安定性を確保することが困難で技術的に採用しない方がいいということなのでここでは除外。)を除いた3案の費用の大半は、犀川大橋前後の「新橋〜下菊橋」区間の約2kmの事業費が密集市街地を貫通していることによる費用434億円〜872億円である。この区間の改修が必要なければ、河道改修案3案はいずれも180億円ほどとなり、ダム案240億円よりも安価となる。

 ご意見は、当方が、「T教授によると、水流によって河道の安定性を確保することが困難で技術的に採用しない方がいいということなのでここでは除外。」と記載したことに対してである。ご意見は以下のとおり。

「河道が持たないとはどういう意味でしょうか。
岐阜のH先生の話ではなかったかと思いますが、1230m3/sだと持って1460m3/sだと持たないと言う意味が以前から分かりませんでした。1460m3/sの場合1m切り下げることになりますが、その場合の平均流速と1230m3/sの現断面での流速はどちらが速いのでしょうか。ほとんど変わらないと思います。
 15年の対策案検討時には間違った断面での不等流計算ですし、掘削案の不等流計算書は不存在です。比較のしようがないわけです。
 しかも、河道が持たないとどうなるというのでしょうか。護岸が崩れてもほとんど堤防がありませんから、破堤もしないし、堤防が洗掘される心配もない。大橋の基礎は、卯辰山層の岩盤の上に載っているし、橋台部分の護岸背面には、イコス工法による補強が行われており、橋台部分が壊れる心配もありません。対策案では現況護岸の根継ぎでは持たないと言うことで、コンクリート重力式擁壁による護岸を新規施工する計画であるわけです。両岸の護岸も直し、河床は1m下げても現況と同じ卯辰山層が露出しているだけで流速が速くなってもドンドン深く洗掘される心配もない。
 おまけに既に洗掘により河床掘削案は計画ではなく現況とすでになっているわけで、後は洗掘地形で流下能力を確認すればよいだけで、費用は0円なのです。そして一番安定な河道確保が出来る案でもあります。」


 要約すると、
 @河床を切り下げ → 断面の拡大 → 流速はあまり変わらない → 洗掘されない
 A仮に洗掘されても現況では堤防も橋も壊れる恐れ無し
 B現実には1mほど洗掘されて固い地層が露出している、流下能力もあるので何もしなくいい。
 ということでした。
 そうですね。河床掘削によって河道が不安定になるうんぬんの理屈はなりたたないということになります。一部を下げればもとの河床の高さの差が大きくなり、河床勾配が急になるということで不安定になるということも考えられますが、全体に下げれば河床勾配は変わりませんので不安定になるということにはなりません。
 県の検討案では、犀川上流200m地点付近から大豆田大橋までの区間の河床を1.2m切り下げることになっています。河床勾配は同じですから、水流による安定度はかわらないということです。
 辰巳ダムはなくても現状でも流下能力はあるという主張ですので、つまりは「コンクリート壁案」と同じということになります。県の比較検討の内訳の詳細を掲載します。県の比較検討では、河道改修D案の区間6(新橋〜下菊橋)で89億円を計上しています。これが要らないということで、
 河道改修D案 = コンクリート壁案
 となります。

2012.6.13,naka

 

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