辰巳ダムの地すべり対策(その3)
― 不明朗な斜面安定対策工事で浪費されたのは6千万円! ―

 鴛原、瀬領、駒帰3カ所、それぞれ10工区、6工区、2工区の合計18工区について「入札結果報告」を石川県に対して公開請求したところ、石川県が発注する工事の入札結果は、平成21年度から、石川県入札情報システムで公開されていることを教示された。入札に関する予定、結果がすべてわかることになっている。

 瀬領についてさらに2工区の追加があり、全部で20工区である。前回作成した表に加えて「辰巳ダム貯水池周辺斜面安定対策工事(貯水池内法面工事)入札結果一覧表」(表1)を作成した。発注された工事の総額は、4.59億円ではなく、4.97億円となっている。

 各工区の予定価格(税込み)、最低制限価格(税込み)、落札価格(税込み)、最低/予定(予定価格にたいする最低制限価格の比率)、落札率(予定価格に対する落札価格の比率)について図化したものが、「辰巳ダム貯水池周辺斜面安定対策工の入札結果」(図1)である。左の縦軸が価格(百万円)、右の縦軸が最低/予定と落札率を表す比率(%)である。

 最低/予定の折れ線を見ると82%付近にあるのに対して、落札率は93%から95%付近となっている。駒帰1工区と駒帰2工区の2件については、落札率が最低/予定の率に一致している。
 
 最低制限価格は、発注者が当該契約の内容に適合した履行を確保できるものとして算定した価格であり、駒帰の2工区については応札者がこの価格でも採算があうものとして落札したと考えられよう。他の工区の最低制限価格についても同様の水準に設定されていると考えれば、落札率93%から95%は高すぎるのであり、競争制限が行われている可能性が高いことが明らかである。

 最低制限価格の総額(437百万円)と落札価格の総額(497百万円)の差(60百万円)が浪費された金額である。
 
2011.12.15,naka
【添付ファイル】
表1 辰巳ダム貯水池周辺斜面安定対策工事(貯水池内法面工事)入札結果一覧表→エクセルファイルpdfファイル
図1 辰巳ダム貯水池周辺斜面安定対策工事の入札結果→エクセルファイルpdfファイル
本文 →ワードファイル

 

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