ダムの堆砂考える 4
by Toshiki NAKA
2012.9.6


ダムの堆砂データの更新
(負の遺産「ダム湖の堆砂」)


  平成16年に作成した表に平成23年現在のデータを加えて、「犀川水系のダムの堆砂」、「石川県内のダムの堆砂」の表を更新した。
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 負の遺産「ダム湖の堆砂」

 溜め池とダム湖は違う。ともに水を貯める大きな桶ではあるが、違うものである。違いを一つあげると、溜め池は年に1回泥抜きをするが、ダム湖は貯めたままである。泥抜きをすれば、未来永劫使い続けることができるということになるが、貯めたままにしておけばいずれ泥が貯まって使えなくなるということになる。溜め池は、千年の歴史があるが、ダム湖は百年の歴史である。ダム湖は生き残れるのであろうか。

 その最大の問題点は堆積する「泥」である。普通は、堆砂(たいさ)というのできれいな砂を想像するが、腐った落ち葉や樹木も含まれるので必ずしもきれいではない。これを処分しようとするとたいへんやっかいなのである。

 犀川水系の5つのダムには、平成23年現在、205万立方メートルの堆砂があると推定している。これを適当に処理処分しようとしても量が量だけに容易ではなくて、低地へ運んで埋立するとしても100億円はかかるだろう。これは、負の遺産である。

 この負の遺産が毎年増え続けるのである。毎年約3万立方メートルが増える。3万立方メートルは100メートル四方の運動場に3メートルの高さに積み上げた大きさである。ダムが建設される前は、これが海まで運ばれて海岸線の砂浜を維持する供給源ともなっていた。これが、ダムで遮断されると、これに代わって人工的に養浜しなければならないことにもなる。

 「ダム年鑑1999」(砂防ダムはのぞく)によれば、全国に3200のダムがあり、石川県には55のダムがある。このダム数から概算して、石川県全体では、犀川水系の10倍、日本全体ではさらに100倍すると、1000倍となる。ということは、10兆円の負の遺産があり、毎年数千億円のマイナスの利息が積み上がっていることになる。少なくともこれを上回る利益がなければならない。
平成24年9月6日 中 登史紀
【参考】
平成16年に作成した表に平成23年現在のデータを加えて修正。
 「犀川水系のダムの堆砂」
 「石川県内のダムの堆砂」

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