小生のまわりには、「おいしい水とはお酒だ!」という輩が多いのですが、訪問者の方がこれに該当される場合は、以下の拙文は読む必要がありません。→出口はこちらです(^^;) 人為的な味付けを加えない、自然水類似のもので、のどが渇いているなどという身体的条件が特別でない場合を想定しています。 おいしい水とは、@水をおいしくする成分を含み、A水をまずくする成分を含まず、B透明で、C適度に温度が低い水です。 水をおいしくする成分は、適度なミネラル(鉱物質)、炭酸ガス、酸素である。 水をまずくする成分は、過度のミネラル、いやな味をつける物質、いやな臭いをつける物質である。 さらに、水道水には、消毒のために塩素を入れているが、これがカルキ臭の原因となる。 濁りや色がついておらず透明さも生理的においしく感じる条件です。 そして、飲料の際の水温が最も重要な要件である。 @水をおいしくする成分 ◆ミネラル 自然水に含まれているミネラルは、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、マンガンなどである。このうちのカルシウムとマグネシウムの合計量を硬度という。適量は、10〜100mg/lであり、50mg/lくらいが目安である。日本国内の水はこの適量の範囲に入っていることが多い。金沢の水道水は25mg/l前後である。硬度の低い水であり、軟水という。ヨーロッパでは200〜400mg/lもある、高い濃度の水がある。小島博士によれば「硬くてしつこい味」という。硬水という。マグネシウムは下剤の成分であるので、この水を飲むと下痢をする。特に日本人は軟水に慣れているので硬水に弱い。 ミネラルの総量の適量は、30〜200mg/lであり、100mg/lが目安である。金沢の水道水は、50mg/l前後であり、やや少なめである。河川の表流水を水源にする場合、低い傾向がある。ミネラルが多いと「渋み、苦み、塩からさ」を感じ、少ないと「淡泊」な味となる。 ◆炭酸ガス 誰もが経験でわかっているように、適度の炭酸ガスが含まれていると、新鮮でさわやかな感じがして、おいしく感じる。適量は、3〜30mg/lである。金沢の水道水では、2mg/l弱であり、やや少ない。 ◆酸素 酸素に味はないが、酸素無くして生命は維持できないので、酸素が少ない水は生理的にまずいと感じるかも知れない? 清浄な水には水中に酸素を消費する物質が少なく、空気中から酸素が供給されるので豊富に含まれている。10mg/l弱の酸素が含まれている。 A水をまずくする成分 ◆過度のミネラル 個人差があるが、おおよそ以下のような濃度で水がまずくなる。 鉄分が、0.5〜2.0mg/lあると渋い味がするようになる。 銅分は、1.5mg/lあると渋味がでる。 亜鉛は、5〜20mg/lあると渋味が感じられる。 マンガンは、0.5〜2.0mg/lmg/lで苦い味がする。 マグネシウムは、50〜150mg/lで苦い味がする。 カルシウムとマグネシウムの合計が100mg/lを超えてくると、硬くてしつこく、苦みが増してくるといわれる。 ◆いやな味をつける物質 都市排水で汚染された水や、植物が大量に堆積腐植した土壌から浸出する地下水には難分解性の有機物が高濃度で溶け込んでいることがある。渋味を感じる。この有機物量は、過マンガン酸カリウム消費量であらわされ、規制では3mg/lとなっている。 海水起源の塩分は、塩素イオン濃度であらわされる。200〜500mg/lで塩味を感じるようになる。 ◆いやな臭いを味をつける物質 油類、フェノール類、微生物の出すカビ臭(ジオスミン、ジメチルイソボルネオール)などがある。 ◆残留塩素 原水が汚染され、有機物やアンモニアが含まれていると消毒のための塩素と反応し、塩素臭い、つまりカルキ臭い水になります。いわゆる消毒したプールの臭いです。 金沢の水は清浄な山水を原水にしていますので、ほとんどカルキ臭はしません。金沢の水道水では、残留塩素は0.1〜0.6mg/l程度です。衛生生的な観点から、家庭の蛇口で0.1mg/l以上の残留塩素が残っていることが法的に義務づけられています。0.4mg/l以下ではカルキ臭を感じないと言うことではほとんどありません。汲み置きや数分の沸騰で残留塩素は無くなります。 B透明 見た目が清澄であることもおいしく感じる条件の一つです。 C水温 ◆適度な水温 体温よりも20〜25度低い、10〜15度の水が冷たくておいしく感じる。ちなみに我が家の水道水の水温は10度(4月)です。金沢の水道水は夏は約24度、冬は約4度と変動し、平均14度前後です。年間を通じてだいたいおいしい水が飲めるといったところです。 参考図書:『おいしい水の探求』小島貞男,NHKブックス487 厚生省の「おいしい水研究会」の「おいしい水」→クリック (2005.4.19記) |