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犀川流域の水管理へ | Photo:2002.6.2 |
日々、毎月、毎年の維持管理
(浄水場の維持管理)
末浄水場の維持管理は,「運転管理」と「水質管理」に大別。
「運転管理」→運転監視と維持点検補修があり、維持点検補修の対象は設備と建物がある。末浄水場で、約2km離れた犀川浄水場も運転監視している。約15名の人員で対応している。
「水質管理」→5人で、ダム湖、浄水場,配水池、給水栓(保育所、出張所、お客)までの採水、水質検査を実施している。このチーム(企業局水管理課水質グループ)は、現在、犀川浄水場の管理棟内で仕事をしているが、今月の中旬に改修された末浄水場の管理棟内の水質試験室に移動する。その後は、すべての人員は、末浄水場の管理棟を拠点とする。犀川浄水場の管理は、末浄水場からでかけて維持管理を実施する。
(日誌、日報、月報、年報)
毎日の記録は、「日誌」、「日報」がある。
「日誌」は操作の記録である。常に正常な運転を行うために、運転の変化や異常、これを改善するためにした行為などを記したものである。
「日報」は浄水を生産するなどの目的を達成するために、各人、各施設等が稼働した実績を記したものである。各設備の大半の稼働は電子機器により自動記録されている。
毎月の記録として「月報」を作成する。「日報」の集計値を整理したものである。
毎年の記録として「年報」を作成する。主として「月報」を集計し、整理したものである。
「末・犀川浄水場水質試験成績書」を毎月、運転のために作成する。
(緩速ろ過施設の維持管理)
生物処理である。水の供給をコンスタントに行わないとうまくいかない。池に水の供給を止めると、ろ過層が酸素不足になり、生物膜が破壊されたり、光合成で発生する酸素の気泡の働きで生物膜が浮上してきたりする。
6池で40,000m3/dayの浄水能力があるが、約15,000m3/day(各池100m3/hr)と約4割の能力で運転されていた。
(急速ろ過施設の維持管理)
物理化学処理である。2名で24時間の運転管理をしている。需要量に応じて、浄水水量を自動的に制御している。急速ろ過池が12池(浄水能力65,000m3/day)あり、各池に設置された電動式のバルブを開閉することによって稼働池数を変えて浄水水量を変化させる。
(浄水場で使用される薬品)
浄水場では、幾種類かの薬品が大量に使用されている。
沈殿池で、濁成分を取り除くために、凝集剤(PAC)とその助剤(カセイソーダ)が使用される。末では、濁度30度→PACが32ppm、カセイソーダ11ppm(PACの33%)、濁度1.6-1.9度→PACが5ppm、カセイソーダ1.5ppm(PACの33%)くらいになる。内川では、カセイソーダが少し、多めで40%くらいである。アルカリ度、硬度が少ないためである。含まれている物質が少ないことを意味する。手取川、犀川、内川の順に少なくなる。内川は山が浅いから?
消毒とろ過の前処理のために、次亜塩素酸ナトリウムが使用される。
犀川浄水場では、次亜塩素酸ナトリウム生成設備があり、原料として原塩が使用されている。
各薬品の単価は、PAC 19円/kg、次亜塩素酸ナトリウム 27円/kg、苛性ソーダ 47円/kg、原塩 23円/kg、消石灰 29円/kgなどである。末と犀川浄水場をあわせて、年間の薬品使用料は約1200万円(3000万m3/年×0.4円/m3)程度である。
ちなみに、平成11年度の末浄水場の次亜塩素酸ナトリウムの使用量は145,628kgで、約390万円。平成11年度の犀川浄水場の原塩の使用量は75,878kgで、約170万円である。
塩素分と有機物と反応して、消毒副生成物のトリハロメタンが問題となっているが、犀川は水が清浄でもあるので、比較的少ない。総トリハロメタンは10ppbくらいである。犀川より内川の方が若干、高い。東京の金町浄水場などとくらべると1/5くらいである。
後次亜で0.65ppm程度、末端で0.2ppm(法規制は0.1ppm)前後である。
(その他)
現在の水の生産量は、末5万、犀川4万、県水8万、合計17万トン/日。末(急速ろ過300m3/h、5池、緩速100m3/h、6池、合計2,100m3/h)、犀川(急速900m3/h、2系統、合計1,800m3/h)、運転。
県水は、現在、四十万中配水池(3,300m3/h)、四十万高区配水池(200m3/h)、合計3,500m3/hである。責任受水量は、契約(11.9万m3/日)の7割の8.3万m3/日(約3,500m3/日)である。市では、年間を通じて、平均で8.3万/日にしている。
末の緩速ろ過池を先々週、3池、砂削りを実施。 現在の損失水頭は、0.01-0.47m。
出口で高感度濁度計が設置されている。暫定指針では、0.1度以下を保つようにすすめている。
緩速沈殿池の前部にホッパーがあり、排泥管とバルブが設置されている。1ヶ月に1回くらいの頻度で排泥する。泥は犀川浄水場の泥処理施設で処理される。大量の濁り分が流入した場合、2週間に一度の引き抜きになる場合もある。
犀川浄水場の次亜塩素酸ナトリウム生成設備の現状
市販の次亜塩素酸ナトリウムの有効成分は、12〜15%である。
生成設備の次亜塩素酸ナトリウムの有効成分は、1%である。
この設備の利点は、原料が原塩であり、安全で、長期間の保存でも質が劣化しないこと、次亜塩素酸ナトリウムのような化学薬品を輸送しないで済むことである。欠点は、高度な設備を維持管理する必要があることである。10-15年に1回、電極(500-700万円程度)を取り替える必要がある。
所長の意見は、取り替えの電極の費用は高いし、当地では容易に次亜塩素酸ナトリウムを入手できることもあり、あまりメリットはないということであった。
昨年、某市の担当者が、危機管理という観点から見学にきたとのことである。
ちなみに、次亜塩素酸ナトリウムは富山県の「日曹」という会社から、タンクローリ車で購入しているとのことである。
末から犀川浄水場を監視するしくみ
(中央監視システム)
末浄水場の浄水中央コントロールセンターでは、末浄水場、犀川浄水場を含め、金沢市内の100ヶ所以上の全水道施設を、取水から給水まで一元的に管理できるようになっている。大きく分けて、
犀川浄水場制御システム
配水施設制御システム
末浄水場制御システム
とある。横河電気(株)製である。
犀川浄水場は、末から監視し、職員は必要に応じて現場で点検操作を行い、常駐してはいない。10万m3/日規模ではあまり例がない。十分な対応をとっているとはいえ、予想しがたいトラブルの懸念などから、PRしずらい(所長の話)。
(監視カメラコントロールシステム)
不審者の侵入を警戒するため、監視カメラコントロールシステムが導入されている。末、犀川に監視カメラ(各3台?)と中央の監視モニターのシステムで、設備費は約3,000万円とのこと。TOA製(東亜電波?)。
もどろうかな
水道週間
水道事業に対する住民の理解を深めるため、毎年、全国的に「水道週間」の行事が実施される。金沢市では、6月1日から7日までの1週間、末浄水場が一般開放された。末浄水場の近所に住む「一住民」としては、理解を深める良い機会であるので、2日(日)の朝から、末浄水場を見学した。岡島所長がおられたのでいろいろと教えていただいた。
今回は、場内の施設の見学というよりも、主として「日々、毎月、毎年の維持管理」、「犀川浄水場の次亜塩素酸ナトリウム生成設備の現状」、「末から犀川浄水場を監視するしくみ」などについて話をうかがった。