アメシロその後7(2003.12.9作成)
農薬についての情報等
「サステイナブル21」のOさんから、資料などを送ってもらいました。
その内から一部、抜粋して転載します。
また、OECD2002のレポートの国別農薬使用量についての資料は、掲載ホームページを確認して、参考に載せました。
皇居の庭園の樹木管理のための農薬使用については、兼六園の管理のために参考になるので、当方の感想を加えて載せました。
平成15年12月8日
中 登史紀

●平成15年6月18日厚生労働省は「ウェストナイル熱媒介蚊対策に関するガイドライン」を地方公共団体及び関係機関、関係団体に配布しました。ガイドラインは次のような問題を含んでいます。
作成した厚生科学研究班の構成メンバーに偏りがある。防除業界の代表者が三分の一を占め、生態学者、毒物学者、環境医学者の参加がない。
WNV(西ナイルウィルス)に対応する基本は発生源対策であるとしつつも緊急時には媒介蚊の幼虫や成虫を農薬散布して撲滅する筋書きとなっており農薬散布推進の強い表現が随所に見られる。
WNVの怖さをあおり立てている。発症率、死亡率等について説明していない。インフルエンザ、喘息の死亡率と比較して多いとは言えない。等々。
●…昭和64年、私たちは防蟻剤(クロルデン等)の再考について岐阜市に要望書を提出しました。当時、日本各地でシロアリ駆除剤による健康被害が頻発しておりました。岐阜県民も例外ではなくクロルデン禍を抱えました。クロルデンは発ガン性、肝臓への影響、半永久的な残留性等から使用禁止となりました。しかし、禁止直前の大量の駆け込み散布によりどれほど多くの健康被害が生じましたことか。……
●国立公衆衛生院の調査によれば化学物質過敏症の患者が約70万人(未成年者まで含めると100万人近く)存在すると推測され対策が急がれるとしております。またこの10年の間に幼稚園から小中高校のどの年代においても喘息が倍増しております。国立生育医療センター研究所等の調査でもアレルギーを起こしやすい体質の人が1970年代生まれの若者では9割にあがりこれは世界的にも例がない程高率だということです。
●日本は国土が狭く人口密度は米国の10倍以上です。平成6年の総務省資料によれば農耕地への単位面積あたりの農薬投入量は日本は米国の8.5倍であり先進国の中でも突出しております。そればかりか、景観用として樹木に農薬が散布され、衛生用として住環境で殺虫剤等有害化学物質が使用されています。その総量と複合汚染の問題があります。

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OECD2002のレポートの国別農薬使用量について
 レポートによれば、「日本の1990年末使用量は耕地1km2あたり1.50トンで、OECD各国に比較してかなり多い(p.101)。日本での使用量が多いのは、気温が高く、湿度が高いという気候にもよる(p.139)。1990年代に穀物生産の減少に伴い、農薬使用量が約10%程度減少し、改善されている(p.100)。」とある。いずれにしても、耕地における農薬使用量がヨーロッパ先進国の数倍あることに留意しなければならない。
 
Figure3.4 Agricultural inputs
Use of pesticides, late 1990s
日本 1.50 tonnes/km2 of arable and permanent crop land
イタリア 0.78
フランス 0.59
イギリス 0.58
ドイツ 0.29
カナダ 0.07
OECD 0.25
OECD Europe 0.34
This indicator does not recognise differences among pesticides in levels of toxicity, persistence and mobility.
Sourse: Environmental Performance Reviews:JAPAN, OECD2002, p.101

「It is difficult to assess, from the available information, the weight of agriculture in the total loading of surface waters. However, Japan's use of nitrogenous fertilizers and pesticides remains quite high in OECD terms (Figure 3.4). Overall pesticide use declined by nearly 10% in the 1990s (Chapter 5, Section 1.3), although body burdens of pesticides in some aquatic organisms remained high (Chapter 8, Section 1.2).」
(Environmental Performance Review:Japan,OECD2002(Chapter 1, Section 2.1), p100)

「Fertiliser and pesticide application levels in Japan are higher than in almost all other OECD countries (Figure 3.4), partly because of the relatively hot, wet climate. Overall pesticide application declined by almost 15%, in line with a reduction in crop production, between 1985-87 and 1995-97. With respect to toxicity the situation has improved considerably; the market share of poisonous substances fell from 30% in 1965 to 3% in 1998. The number of registered poisoning cases was 79 in 1990 but only seven in 1994.」
(Environmental Performance Review:Japan,OECD2002(Chapter 5, Section 1.3), p139)

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皇居の庭園の樹木管理について(回答)

1 庭園の面積 
皇居の面積;約115ha

2 樹木の種類別本数
主な樹種は、クロマツ、カエデ、モチノキ、サクラ、クスノキ、スダジイ、タブノキ、ムクノキ、ヤブツバキ、ミズキなどである。樹木の種類別本数の現況調査は行っていない。

3 管理をどのようにしているのか。
@農薬散布回数、A農薬散布量、B農薬名
樹木管理に伴う農薬の使用を極力抑えるため、害虫被害がひどい場合のみ必要最小限の薬剤散布を行うこととしている。
サンゴジュ、ツゲ、サクラ、ツバキ等の害虫の発生状況に応じて、DEP乳剤、ランネート水和剤等を散布。
C農薬散布以外に樹木の保護のためにどのような手法を講じているのか
風通しを良くして、病虫害の発生を抑えるために、枝透かし剪定等の手入れを常に怠らないようにしている。

4 特に松について何か特別の手だてを講じていれば、その内容。
希に松枯れが発生することがるが、その際にはマツノザイセンチュウの有無を検査し、マツノザイセンチュウが確認された場合には、伐採して粉砕処理または薫蒸処理を行い、被害が拡大しないよう努めている。マツクイムシ防除のための農薬散布は行っていない。

◆補足説明
樹木の本数は約52,000本。
予防のための定期的な農薬散布はしていない。
害虫等が発生した時に行うので、年によって使用量は異なる。
おおむね、年間使用量は、DEF乳剤 5〜8リットル(原液)、ランネート(粉剤)300〜500g程度である。主にサクラの毛虫やチャドクガなど。

◆追加のコメント(市民グループ「サステーナブル21」)
宮内庁より、国会議員を通していただきました。広大な森をほんの少しの薬剤利用で管理しています。生態系の宝庫だそうです。

(資料提供:市民グループ「サステーナブル21」)

◆当方の感想
普通の感覚だと、なるべく農薬なんか使わないでおこう、従来、農薬なんかあまり使っていないのだからとなると思う。皇居の管理を知ってその感を強くした。
一方、兼六園は薬漬けだ。当方が調査した時点で年間9回、以前は15回の散布していたという。管理者に与えられた任務は「兼六園の松を枯らしてはいけない!」である。百パーセントの保証を考えると農薬散布しかないと考える(実際は無理で毎年散布を続けているが枯れる)。これを始めると止めることができなくなる。薬漬け患者が薬を止めることができなくなるのと同じである。人間に対する健康被害などのリスクはあまり配慮されない。被害が発生してやっと改善する。水俣や四日市の公害問題を連想させる。
 最近の新聞の報道によると、兼六園のマツノザイセンチュウ対策は、松に薬をしみ込ませる方法を試行しているようだ。少しは改善されているようだ。

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