今時、一枚三十円のコピーなんて!(その4,終わり)

【気象庁から「提案書」(平成14年11月2日づけ)の「回答」(12月17日付けで届いた:郵送】
 直接,メーカーの販売会社へ委託したら,支援センターの間接経費10円が浮いて,1枚20円でコピーできるのではという提案に対する回答である.
 大手コピーメーカー3社に尋ねたところ、「実施できる」と回答したところはないとのことであった.

【年末から年始にかけて上京する機会があり、気象庁,支援センター、メーカーを訪ねた:1月7日】
 それぞれの立場から、話をうかがった. それぞれ一理あり、1枚30円程度はやむ得ない?
 下記に記述する.

【気象庁へ最終の「案内」(平成15年2月17日づけ)を送ることにした:FAX】
 10円でできる方法があるにもかかわらず、できない、構造的な問題を指摘した。そして、技術革新(インターネット)による情報公開でより、安価に情報提供され,これ以上の無駄は排除されることが明らかであるので、ここで幕引きをする由の案内をした.

以下に30円コピーを通じて、理解した、官が主導して行うことの非効率性についての一端を説明する!

1枚30円は高くない?
 「いまどき、30円コピーなんて!」と思って調べた結果が、どうも「30円は高くない!」らしい。
支援センターはメーカーにすべてを依存しており、支援センターが関与しないで直接にメーカーに任せれば、支援センターの経費、おおよそ10円分が浮いて、その結果、コピーが1枚あたり、20円でできるのではないか? 
 このような疑問を「気象庁」の担当部署に対して投げかけたところ、気象庁がメーカー3社に対して問い合わせた。ところが、どこも「実施できる」と答えたところはなかったという。ビジネスチャンスと考えれば、やると意志表示をするところがあっても、不思議はないと思うのであるが、割のあわない仕事なのであろうか。
年末年始に上京する機会があり、その足で「気象庁」、「支援センター」、「コピー機を納入しているメーカー」を訪問してその事情を尋ねた。あらかじめ、連絡を入れておいた「気象庁」を始め、事前の連絡なしに訪問した「支援センター」、「メーカー」の担当者からも誠意ある対応をしてもらった。それぞれの立場での言い分を聞いた。
 メーカーの担当者によれば、「メンテナンスや料金徴収を考慮すると、30円でも高くない。リース代などはかなり厳しい値段で納入している。メーカーの販売網ですべてやれば、もっと高くなるかもしれない。」とのことだった。

 
ということは、官がやれば安価になるか?
 官が関与すると何事も高くつくので、「官から民へ」、「民で出来ることは民でやるべきである」と当方は主張してきた。この旗印をおろさなければならないのであろうか? 民による活動は、基本的に経済的合理性に基づいているはずである。そうでない民は淘汰される。民は物事を安価に処理できる、これ以外に民の利点はないはずである。民に経済合理性が無いのであれば、公費で維持されている官の方がノルマに追い立てられることもなく、住民の意志を十分に取り上げてくれるし、信頼できる。その上、安価であれば、官がやったらよいではないか? これでは、社会主義国家だ。

民でやったとしても安価にならない?
 メーカーの担当者によると、「1枚30円でもやれないかもしれない。もっと高くなるかも知れない。」という。民でやってもまだ高くなる?
 そういえば、当方の関与している公共土木業界は、民がやっているが安くならない。官需は民需の2倍である。なぜか? 官も関与して談合し、競争原理が働いていないからだった。
 競争原理に基づいた、経済的合理性による活動でなければ、官であろうが、民であろうが、安くならないのである。
 つまり、支援センターのコピーも競争原理が働いていない?
 利益があがるところには、参入者が多くなり、競争がおこる。ところが、「売り上げ」の割には「全国一律」などとの条件が多く、「全国に支店網のある大手メーカー」には規模が小さすぎて魅力がなさそうである。参入者のいない、郵便事業と似ているのだろうか?類似の業務の余地もなさそうであるので、競争になると言うようなことはなさそうである。


安くする工夫はある!
 けれども、日常の実感、米国での経験(確か、図書館でコピー1枚、5セントだった!)から、腑に落ちなかった。思考をこらしてみると、「これは機械を提供しているからで、コピーサービスを提供していないからだ!」ということを思いついた。年間数千枚(1日10枚程度)であれば、数万円の単機能(A4のみ対応)のコピー機でも間に合う。支援センターが提供しているような多機能の百万円以上するコピー機(縮小拡大、B5,B4,A4,A3)は不要でしょう。平成9年度の実績によれば、汎用型(11台)、簡易型(19台)、準汎用型(28台)の年間利用枚数は、それぞれ、34,140枚、6,094枚、4,875枚である。6,094枚ならば、260日/年で除して、1日23枚にすぎない。
「(メーカーは、)コピー機の販売・リースのみでコピーサービスは行っていない。」つまり、メーカーは安価なコピーサービスをしようとは思っていない、高い機械を売って儲ければよいと考えているのであり、高くなるべくして高くなっている。
「地域差のない全国一律のサービス」といっても、同じような高価なコピー機を置くことではなく、簡易な機械でもコピーできればよいのであり、安いコピーサービスを提供できる。


技術革新がもっと安価にした!
 「支援センター」で話をうかがった際には、あまりにこまごまとしつこいので「コピー機のような些細なことを問題にするよりも、もっと大きな公共土木の無駄を問題にするべきだ。」などとお叱りを受けてしまった。さらに、「コピー機の設備を民間で引き受けてくれるところがあるなら、今すぐでも引き受けてもらいたいものだ。」と愚痴?までいただいた。
 というのは、平成14年8月8日より、インターネットで降雨情報が公開されたことにより、コピー利用者が激減し、コピー機が「支援センター」の負担となっていることであった。現在のところ、すべてが公開されているわけではないが、年々、公開する範囲を広げる予定とのことであり、支援センターのコピー機の利用がますます減少することが予想されるという。
 自宅のパソコンで降雨情報がとれることになり、コピー費用もいらない。


30円コピーは一件落着?
 つぎの理由で、一応の幕引きとする。
 一つ、すでにリース機器が配置されており、改善の余地が無いこと(安価な機械に代えても、前の機器のリース代を支払わざるを得ないこと)、
一つ、技術革新(平成14年8月8日より、インターネットで降雨情報公開)により、コピー利用者が激減しコピー機が「支援センター」の負担となっていること、したがって、これ以上の無駄な投資が抑制されると推測できること。

【気象庁等との話のメモ】
気象庁総務部産業気象課での話:
平成15年1月7日、課長補佐、管理係長、企画課の方に面会した。当課は、気象業務法による、気象情報提供等に関する業務を行うために設置された、財団法人「気象業務支援センター」を指導、監督している部署である。
全般的なことを聞いた後、当方の提案に対する、民間のメーカーの答えを聞いた。どこがどのようにどのような回答をよせたかの詳細については、答えてもらえなかった。いずれにしても、郵便事業の民間参入に似て、どこも参入する意志をしめしたところはなかったという。気象庁が各メーカー(キャノン、リコー、富士ゼロックス)に問い合わせた条件は以下のとおりである。

(コピーサービスを行なう条件)
1 年間を通して行う。
2 地方気象台以上の56官署(本庁、管区気象台、海洋気象台)すべてで行う。
3 全国一律の料金設定とする。
4 料金の徴収、コピー機等のメンテナンスは業者が実施する。
5 業者は、建物使用料と電気代を国に支払う。
6 消耗品(紙やトナー)は業者が用意する。

筆者注:具体的な数値は56箇所だけで、業務の規模がつかめないのでメーカーの方も答えようがないという気がしないでもない。業務の規模は、全体で年間1千5百万円程度である。大手三社が興味を示すような案件ではないことは確かだろう。

「支援センター」の弁:
 コピー機のメンテナンスは、定期的に年2回、トラブルで1回、合計3回を想定している。料金の回収は地方員に委託している。管区気象台は年6回、地方気象台は年3回、5000円/回でお願いしている。(確認はしなかったが、軽メンテナンス(紙の補充など)は気象庁の人にお願いしているらしい。)
インターネットによるデータ公開でコピー利用が激減し、負担になっている。

「メーカー」の弁:
●全国一律のコピーサービスについて
 そのようなサービスはやっていないし、これからもやらないだろう。(筆者注:コピー機を売るのが儲かるらしい。)
●メーカーの料金の回収について
お金を回収することは、安全を考えるとかなり大変。例えば自動販売機のお金の回収を専門会社へ頼む場合、二人一組で回収し、現金輸送車を使うことになるのではないか。わずかなお金を点在した場所から安全に安価に回収するのは難しい。(筆者注:宅急便屋さんは、「代引き」とか言って、品物と一緒に代金を回収する業務を行っている。尋ねたメーカーの販売網には、そのようなノウハウはないらしい。)
●支援センターのコピー納入について
金額的に無理をして納入したという。百万円以上する機械の年間リース代がかなり安い(汎用型77,550円/年,準汎用型51,550円/年)。
(筆者注:無理したといっても儲かっているはず。コピー機業界は、キャノン、富士ゼロックス、リコー3社の寡占体制でほとんどのシェアを占めている。特に官にかかわる仕事は、競争が激しくない?三田工業、ミノルタ、コニカにがんばって欲しい!(^_^;))

最後に、
【財団法人気象業務支援センターとは】
「支援センター」は気象庁の外郭団体で、役所だろう、官だろうと考えていたが、どうもそうではないらしい。議論をする中で、「支援センター」は民間らしいことがわかってきた。官から民へ、などと主張しているが、「支援センター」が民ならば、当方が声高に「官から民へ」などと主張するまでもなく、とっくの昔に一歩も二歩も前進しているではないか。そして、経済的な合理性が発揮されて、効率的な社会になりつつあることになる?
ところで、官? 民? 財団法人とは何なの?
財団法人は、公益法人の一つ、つまり、私益ではなく、不特定多数の利益のために作られ、ある目的のために寄付された財産を運用して運営されるものなんだそうな。支援センターの業務を見ると、気象データ配信サービスなどを始めとして、不特定多数の人に情報を提供する業務だから、まさしく、公的な機関がやる仕事である。ところが、これは公的機関ではなく、民間だという。ややこしい。公的機関が提供した寄金によって運営される民間機関であり、私的な利益を追求するのではなく、公的な利益を追求する機関であるというのである。
公益法人は全国で2万6千もあり、総予算規模は20兆円にも上るという。その6割は、官の外郭団体とか。支援センターも気象庁の外郭団体、つまり、行政の仕事の補完をしているのである。予算規模は4億円程度と比較的、小規模である。収入のほとんどは、事業収入である。これは気象庁からの委託事業か?そうすると、民といっても、結局、官か?
官というのは、「国家あるいは公共の機関、それに属する人も含む(のかな?)」、法治国家として法律に裏付けられた、立法、司法、行政の機関およびその構成者ということか、それ以外は民である。
 官の要員が制限されているので、見えにくい形で組織の肥大化しているようにも見える。「公益法人改革」が進められているようであるが、行政の効率化、簡素化に役立つのであろうか?
 「自民党から管へ」ではないか(^_^;)、「官から民へ」の意味をもう少し厳密に考えてみる必要がある!

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