石川県河川開発課への冊子提出
平成12年3月21日
石川県河川開発課長 殿
金沢市小立野3−12−28
中
登史紀(建設コンサルタント)
冊子「辰巳ダムは違法だ!」の提出について
市民と石川県との「辰巳ダムに関する意見交換会」を通じて、辰巳ダムが違法か否かについて議論がありました。その議論の中で米田次長は、「好ましくはないが違法ではない。」と繰り返えし主張されました。法律の条文にあっていなければ好ましくないのは当たり前で、「好ましくはない」は単なる枕詞にしか過ぎず、「違法ではない」を理由無く連発されていたに過ぎません。違法か・違法ではないかについて、議論を集約しながら、あらためて検討してみました。
このような行政上の誤りを繰り返さないように、再々、検討することが重要であると考えます。また、行政が適正に実行されるように監視することも、市民・県民の務めであるとも考えている次第であり、冊子がまとまりましたので提出いたします。
ご意見あるいは、疑問点がありましたならば、ご指摘ください。
以上。
添付冊子:『辰巳ダムは違法だ!』平成12年2月1日
北国新聞(夕刊)2000年3月21日 |
【関係資料】
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■「河川法」より抜粋
(法律第167号,昭和39年7月10日官報による。昭和40年4月1日施行。旧河川
法」明治29年法律第71号は廃止する.)
第二節 河川工事等
(工事実施基本計画)
第十六条 河川管理者は、その管理する河川について、計画高水流量その他当該河川
の河川工事の実施についての基本となるべき事項(以下「工事実施基本計画」とい
う。)を定めておかなければならない。
2 工事実施基本計画は、水害発生の状況並びに水資源の利用の現況及び開発を考慮
し、かつ、国土総合開発計画との調整を図って、政令で定める準則に従い、水系ご
とに、その水系に係る河川の総合的管理が確保できるように定めなければならな
い。
3 河川管理者は、工事実施基本計画を定めるに当たっては、降雨量、地形、地質そ
の他の事情によりしばしば洪水による災害が発生している区域につき、災害の発生
を防止し、又は災害を軽減するために必要な措置を講ずるように特に配慮しなけれ
ばならない。
4 建設大臣は、工事実施基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、河川審議
会の意見をきかなければならない。
■「逐条河川法」より抜粋
(建設省新河川法研究会編、株式会社港出版社刊、昭和41年9月30日発行)
序文より(建設省河川局長 古賀雷四郎)
……このたび新河川法研究会の諸君の手によって、河川法の全条文にわたる詳細な
解説書がつくられたことはまことに時宜を得たものであり、喜びに堪えないところで
ある。これらの諸君は、河川法の立案に従事し、あるいは現にその解釈運用に当たっ
ている人達であって、その解説については最適任の人達である。……
第16条(工事実施基本計画)の解説より
河川工事は、河川の流水によって生ずる公利を増進し、公害を除去、軽減するため
河川について行われる工事で、河川管理の一態様である(法8条)。河川管理は、第
1条に明らかなとおり、公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを究
極の目的として、河川について、洪水、高潮等による災害の発生を防止し、その適正
な利用と流水の正常な機能の維持を図るため、これを総合的に管理することである。
河川工事は、河川管理の重要な部分を占め、したがって、その実施は、これらの諸点
を総合した基本的な計画に基づいて実施されなければならない。本条は、河川管理者
に、かかる河川工事の実施の基本計画の作成義務を課し、その作成に当たり配慮すべ
き事項及び作成手続きを規定している。
1 水害発生の防止及び既存の水資源の利用関係の確保は、河川工事の目的の一部で
あって、工事実施基本計画作成の際これらは当然考慮されるべきものである。水資
源の開発についても、ダム、河口堰、湖沼水位調節施設等の築造によって、特定の
者のためではなく、一般的に将来の利用関係の増進を図ることは河川工事の領域で
あり、また、河川については種々の利水事業の計画が存し、又は将来立案されるこ
とが予想されるので、これらを工事実施基本計画の立案に際して考慮することが要
請されているのである。
なお、水資源開発促進法に基づき、水資源開発水系が指定され、当該水系につい
て、水資源開発基本計画が決定されることとされており、工事実施基本計画の策定
に当たっては、当然これら既定の水資源開発基本計画が考慮されなければならない
が、既定計画の存在しない場合でも、当該指定のあった水系の水資源の開発につい
ては、工事実施基本計画の立案に際し特に配慮すべきであろう。
2 (略。国土総合開発計画について)
3 工事実施基本計画の作成の準則として、河川法施行令第十条第一項は、次の二点
を示している。
(1) 洪水、高潮等による災害の発生の防止又は軽減に関する事項については、過去
の主要な洪水、高潮等及びこれらによる災害の発生の状況並びに災害の発生を防
止すべき地域の気象、地形、地質、開発の状況等を総合的に考慮すること。
(2) 河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項については、流水
の占用、舟運、漁業、観光、流水の清潔の保持、塩害の防止、河口の閉塞の防
止、
河川管理施設の保護、地下水位の維持等を総合的に考慮すること。
4 工事実施基本計画は、河川別、河川管理者別に定められるのではなく、水系ごと
に、その水系に係わる河川の総合的な管理が確保できるように定めなければならな
い。河川は、有機的に結合して水系をなしているのであって、河川に関する計画に
おいては、1の水系に係る河川が全体としては対象にされなければならないのであ
る。…(略)…本法が新しい河川管理制度を設けた目的の一つは、水系を一貫した
河川の管理にあり、工事実施基本計画の策定は、これを達成する重要な手段の一つ
である。
5 第3項は、河川管理者が工事実施基本計画を定めるに当たっては、いわゆる水害
常襲地域に対する冷水対策について特に配慮しなければならない旨定めたものであ
る。
6 (略。一級河川に係るもの)
7 河川法施行令第十条第二項は、本条の実施政令として、次のとおり工事実施基本
計画に定めるべき事項を明らかにしている。
(1) 当該水系に係る河川の総合的な保全と利用に関する基本方針
(2) 河川工事の実施の基本となるべき計画に関する次の事項
(イ) 基本高水(洪水防御に関する計画の基本となる洪水をいう。)並びに河道及
び
洪水調節ダムへの配分
(ロ) 主要な地点における計画高水流量
(ハ) 主要な地点における流水の正常な機能を維持するために必要な流量
(3) 河川工事の実施に関する事項
(イ) 主要な地点における河道計画に関する重要な事項
(ロ) 主要な河川工事の目的、種類及び施行の場所並びにこれにより設置される主
要な河川管理施設の機能の概要
8、9 (略。許認可について)
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