金沢市西部水質管理センター施設の見学
期日:平成14年9月15日(日)午前9時〜12時
場所:金沢市西部水質管理センター
案内者:市職員
見学者:中 登史紀
「下水道促進デー」で、処理場が開放されていた。市職員によって説明が行われていた。いくつかのテーマについて説明を受けた。
写真(金沢市の下水道普及率、地下式の下水処理場の内部など)
テレビカメラ車の実演
処理場内の一画で、下水道管の内部を調べる「テレビカメラ」の実演が行われていた。市が一部の資本を出資している(株)金沢環境サービス公社によるもので、この公社は下水道が整備される前は主として「汲み取り作業」を行っていた。カメラ車による検査の能率は、100〜500m/日(最大)である。市内には4〜5社あり、年間20kmくらいの検査を実施しているとのことであった。現在(平成12年度末)、総管路延長は約1,700kmあり、約1%である。整備人口は36万人(55人/ha)、整備面積は6500ha(260m/ha)である。テレビカメラ車は、ソフトもセットで2千万円くらい。カメラの検査は、操作者、記録者、作業者(カメラを入れるなど)で3〜4名で行う。検査をする前に清掃を行う必要があり、その体制は、高圧洗浄車、強力吸引車、給水車の要員6名、他に誘導員α名である。取り付け管(昔は陶管、現在は塩ビ管)用、本管(既設管はコンクリート管、新規は塩ビ管が多い)用のカメラがある。
三大トラブルをあげると、@布設管のジョイントからの地下水の漏れ A布設管のクラックからの地下水の漏れ(埋設深さが浅くても深くてもクラックがある) B隙間から木の根の侵入(管が詰まる)。一般的な補修は、内面補修工法であり、FRP材料を中から貼り付けるものである。写真(テレビカメラ車)
●CODとBODの関係
流入水のCODは、50〜80mg/l、BODは、2〜3倍である。流出水のCODは、5〜10mg/l、BODも同じく、約1倍である。
●光学顕微鏡による活性汚泥の観察
活性汚泥(activated sludge)は、細菌類(Bacteria)、菌類(Fungi)を主とし、わずかに藻類(Algae)を含み、これらを摂取する原生動物(Protozoa)、後生動物(Metazoa)などからなる。細菌や原生動物(一個の細胞より構成される単細胞動物)を顕微鏡で観察し、その状態を調べる。一般的には、100倍の光学顕微鏡(対物レンズ10倍、接眼レンズ10倍)を利用する。200倍では見にくい。小さいものは同定しにくい。実際にのぞいてみると、ロタリアがよく見られたが処理の状態がよいからである。アメーバが発生するときは処理の状態が悪い。糸状菌が発生すると汚泥の沈降性が悪くなる。
活性汚泥の中によくみられる原生動物などをあげる。
クマムシ後生動物(Metazoa)
写真(上記の活性汚泥生物)
●汚泥処理について
流入下水量50,000m3/日に対して、2.2%の汚泥が650トン/日(流入下水量に対して1.3%)発生する。汚泥脱水機(フィルタープレス)で65−70%の含水率の汚泥が50トン/日(0.1%)発生する。汚泥脱水は週5日稼働である。週に250−300トン発生する。52週とすると、13,000−15,600トン/年となる。年間の流入下水量1800万トンに対して、0.07−0.09%となる。フィルタープレスは154m2が4台である。2−3ton/hrの能力である。脱水するために、11%の消石灰を入れている。
脱水した汚泥は、ベルトコンベアで隣の棟へ搬送し、そこから汚泥圧送ポンプで隣接しているゴミ焼却施設へ送り、ゴミと混焼している。汚泥の含水率が65%と低いので圧送する際の抵抗を減らすために、滑材(水?)を注入している。金沢大学の宮江教授によって技術開発された。
写真(汚泥処理)
●維持管理要員
市職員7,中央監視要員10名(2交替、委託)、機械/脱水施設要員7名(委託)の計24名である。市職員の構成は、所長1、庶務1、機械1、電気2、化学(水質)1、合計7名である。管理、庶務、発注業務などを行う。