石川県の犀川水系流域委員会の傍聴報告 |
◆第3回犀川水系流域委員会、平成16年7月28日(水)、石川県厚生年金会館
2004.8.11 作成
1.日時 平成16年7月28日(水) 13:30〜16:00 2.場所 石川厚生年金会館 2階 相生の間 3.主催 石川県土木部河川課 4.内容 河川法(昭和39年法律第167号)第16条の2第1項の規定に基づき、犀川水系に係る河川整備計画を策定するに当たり、治水、利水、環境等に関する学識経験者、有識者及び関係 団体の代表の意見を聴くため、「犀川水系流域委員会」を設置しており、委員会は、整備計画 について意見を調整し、河川管理者に助言する。 今回は、第3回「犀川水系流域委員会」を開催する。 犀川の整備計画原案について 5.委員 犀川水系河川整備計画(原案)について議論があった。 その議論の中で注目した事項をいくつか、以下に記述する。 (整備計画の整備水準が明確でない) 北浦委員の意見: 「新潟福井豪雨がどの程度の確率であって、この雨が降ったら金沢はどうなるか」 玉井委員長の説明: 「、、、、河川整備の水準のだけれども、第二章で記述している。、、、、」 (筆者注:筆者は原案の第二章を確認。辰巳ダムのこと、現在、進行中の河川整備完了後の各支川の治水安全度しか書いてない。これではわからないと思うが。?) 辻本委員の意見: 「今、北浦委員の意見がご紹介されましたけれども、これと関連して、これも含めてなんですけれども、河川整備計画の案というところに、どこまで書き込むのかという問題がありますけれども、 一つ、気になりましたのは、 基本方針のどれくらいの部分が達成できて、整備計画で基本方針の目標のどこまでを達成できて、どの部分が残るかということが、明確でないような気がします。基本方針のほとんどの部分が達成されるわけですが、取り残されるところも当然あるわけで、そのことをどこかで、本文に書くかどうかは別として、きちっと、明確にしないと、懇談会において、住民の知りたいことに対して十分、答えられないと思います。 というのは、懇談会の代表的な意見に、200年に一度の洪水に備えるというのと、100分の1でやるというのを、どこまでを基本方針で書いてあって、どの部分を整備計画でやり、どの部分が課題として残るのかを、どこかで明確にしないといけないと思います。 もう一つ、三番目にございます、懇談会での意見ですが、超過洪水の対応策、これが場合によっては、新潟福井の出水に対するものの考えに関連すると思います。 ソフト面とか、避難面を整備計画の中ではなかなか書き込みにくいと思うんですけれど、整備計画の中でかける部分がひょっとしたらあるんじゃないかなという気がします。 超過洪水というのは、例えば、HWL、危険水位までに抑えるわけですけれど、超過洪水はそれをオーバーします。そうしますと、まさにこのあいだの足羽川の災害により、、、堤防を、、、どれだけの、強い、弱いが出現、HWL以内に抑えていると差がでないのですけれど、HWLを超えるとまさに、強い弱いが出現してきますので、、、、の面をどんな形で書き込むか、整備計画で、これくらい、それに対する補足説明として、どれくらい書くか、というようなことが必要になってくるな、という気がします。 その中でで、北浦委員がおっしゃる、今回の福井、あるいは新潟福島災害の、ああいう雨の降り方を犀川流域で起こった場合、現在の計画はどの程度まで、守れるのか、守れないのか、説明があった方が、いいんじゃないかと思います。」 玉井委員長の説明: 「、、、、どの程度整備されるかは、第3章の中でみていただければいいとおもいます。、、、、」 (筆者注:原案の第3章を確認したが、この章でも木呂川の治水安全度1/5程度しか記述がない。1/6以上の雨が降ったら氾濫するというだけのことか?) 筆者感想: 今まで、支川も含めた犀川水系全体の治水安全度の目標についての説明したところがない。例えば、伏見川の将来目標は1/50としているが、今回の議論の中でそのような説明は一度もない。伏見川は現在1/10で、整備計画にその記述はない。そもそも基本方針の全体像を明らかにしていない。明らかにしないで、整備計画は何となく、進行中の計画をそのまま、のせているだけである。今回の議論で、見直されたのは、辰巳ダムを含めた3ダム連携、鞍月用水取水堰上流部の改修の件だけである。 公共事業評価監視委員会で付帯意見がついたので、河川整備検討委員会、流域委員会を設置して整備方針、整備計画をまとめているが、見直したのは実質、辰巳ダムの衣替えだけである。鞍月用水取水堰上流部改修は、住民から指摘があったので慌てて追加したに過ぎない。 基本方針の全体像を示して居らず、辻本委員の指摘のように、川つくり懇談会での質問に回答できないのではないか?単に、1/6確率で氾濫するという説明をすれば、とんでもない、もっと安全にしろ、という住民の反応で、何もまとまらなくなりそうである。) (河川整備計画の期間は20〜30年) 「河川整備計画は、おおむね20〜30年後の河川の姿を表すもの」との県の説明に対して、委員から、期間の根拠についての質問があった。 県は、「(県財政の能力から決まる)投資のスタミナを考慮し、犀川では30年程度で整備できることを検証の上、決めた。」また、「(河川)法的に決められたおおむね20〜30年を元にして決めた。」と説明された。 筆者感想: 河川法に詳しい知人は筆者に、法的に決まっているというのは、誤りと説明した。筆者は、河川法、同施行令等を確認したが、法令に記述はない。国土交通省の河川局のホームページの「河川整備基本方針、河川整備計画について」 http://www.mlit.go.jp/river/gaiyou/seibi/index.html を確認した。 まず、河川整備の基本となる、河川整備基本方針を決める。ここでは、個別事業など具体の河川整備の内容を定めず、整備の考え方を記述する。 方針に基づいて、河川整備計画を定める。その内容は、 ・20〜30年後の河川整備の目標を明確にする ・個別事業を含む具体的な河川の整備の内容を明らかにする である。具体的な河川の整備を考慮し、目標とする整備水準を達成する場合、一般的に要する期間が20〜30年程度という経験から導き出されたものだろう。法で決めたのではなく、当局の裁量で決めたもののようである。 (本川、支川の整備水準の差) 委員から、「本川は1/100、支川の木呂川は1/5と差があるが。」との質問があった。これに対して、県は、「予算枠があり、制約を受けること。本川は支川が集まり、重要であるので、この程度の河川で認めれている基準の最大を選んで1/100としたものである。」また「川の氾濫の影響度の大きさによっても異なる。」とも説明した。 筆者の感想: 支川のバラツキが大きすぎるように思う。川の規模にかかる、氾濫の影響の大きさにもよるので一概にいえないが、支川の治水安全度が1/2〜1/50と違いが大きすぎる。また、どの程度の整備水準を目指しているのか、明確でない。整備計画完了時点でもこの乖離が残されたままである。 |
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