金沢の洪水を考える 25
by Toshiki NAKA
犀川大橋左岸の拡幅(左岸引き堤案)は一石三鳥案!
――治水と交通上のネックを同時に解消、さらに街の再開発も――
《維持管理のコストを入れると、辰巳ダム案と犀川大橋左岸の拡幅(左岸引き堤案)はほとんど同じ。国道拡幅と野町、千日町の再開発を同時に実施すれば、断然有利。一石三鳥案である。》 |
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(どこかで洪水があるとダム待望論が!) 全国のどこかで大きな豪雨がある度に、金沢で同じ豪雨が発生したらどうなるのか、という議論が繰り返されてきた。今回も同様である。 「昭和40年に犀川ダムができてもう安心だ。昭和49年に内川ダムができてもうこれで万全だ。」と言っていたが、また心配になったから、辰巳ダムが必要だというわけである。 (犀川のネックは大橋地点) 犀川の治水上の制約点、ネックは犀川大橋地点の流下能力である。もとの流下能力は615m3/秒である。昭和47〜53年の河川改修で4m河床を切り下げて1230m3/秒とした。県はこれ以上の拡大は無理であると説明する。今回、県が見積もった洪水が発生し、辰巳ダムが無ければ、1460m3/秒の洪水で大橋地点が氾濫すると説明する。 (拡幅してネックを解消すればダムは要らない) 県は無理と説明するが、この地点の拡幅ができれば、治水上のネックが解消され、上流のダムは不要となる。県が拡幅無理あると説明する最大の理由はコストである。553億円と見積もる(注1)。ここを拡幅すれば、ほとんど問題は解決する。辰巳ダム案は240億円ということである。単純に比較すれば、2倍の費用がかかり、辰巳ダム案が圧倒的に有利である。 下図の赤地で示したところが、拡幅の場所を示している。 (辰巳ダム案はかならずしも有利ではない) 河川は拡幅してしまえば維持にほとんど費用はかからない。ところがダムは維持費がかさむ。犀川ダム、内川ダムの例では、毎年2億円程度要している。100年で200億円である。さらに、100年後のダムの修繕費用を加えれば、費用は同等となる。さらに、拡幅案にはつぎのようなメリットもある。 (一石三鳥案!) 犀川大橋地点は治水上のネックばかりでなく、交通上のネックでもある。国道157号線(旧国道8号線)の拡幅事業が進捗しているが、片町から野町交差点までの拡幅改良事業のネックともなっている。さらに、周辺の野町、千日町地区は住宅密集地として放置されているが、この地域の都市再開発も求められている。 金沢百年の大計に立って、当地点の河道拡幅、国道拡幅、都市再開発を実施すれば、結果的に、全体として安価な街づくりが実現できる。 (注1)犀川大橋左岸引き堤案のコスト 石川県が「犀川水系河川整備検討委員会第二回河川計画専門部会(平成15年3月5日)」の際に示した「治水計画参考資料」によると以下のとおりである。 犀川大橋地点の流下能力を1460m3/秒にした場合、河口までの全体に影響が及ぶので全体の事業費で553億円。犀川大橋地点の直接の拡幅費用、つまり下菊橋下流の落差工から新橋までの拡幅整備にかかる費用は436億円である。 |
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