金沢の洪水を考えるNo.21
犀川本川および支川の治水安全度について
――(中期的に)犀川本川の治水安全度が行き過ぎ、支川は遅れ過ぎています――
石川県は、辰巳ダムを衣替えして、洪水調節専用ダムとしたいようです。本川の安全度は高く、急ぐ必要は全くないようですが、ダム計画にご執心です。一方、支川の治水安全度は著しく遅れています。筆者が情報公開で集めた資料および犀川水系流域委員会の議論で収集した資料では、なんと、20年〜30年後の整備計画が完了した段階においても1/10以上の洪水で安原川以外のすべての支川で氾濫が起こることになっています。 この資料を読み取ると、(中期的に)犀川本川の治水安全度が行き過ぎ、支川は遅れ過ぎています。 実際には、犀川本川の整備が過剰で、支川は若干遅れているのかもしれません(-_-;) |
(犀川本川および支川の治水安全度) 犀川水系の犀川および支川(伏見川、十人川、安原川、木曳川、高橋川、木呂川)の治水安全度は、(表)犀川水系犀川および支川の治水安全度 のとおりです。 (本川と支川の治水安全度のバランス) 犀川流域の治水安全度を高めるにしても費用対効果を考えれば無限に高めることはできない相談で全体のバランスが肝要です。本川の将来目標を1/100とすれば、支川の安全度1/50は本川とのバランスの取れた目標値であると考えます。今後20年から30年以内に具体的に整備あるいは管理していく内容を盛り込んだ「整備計画」では、本川1/100、支川1/2〜1/50とばらついています。本川を1/100とするのであれば、支川の目標は小さすぎます。県担当者の説明では、支川の安全度は1/10を当面の目標にしていると答えていますが、支川の安全度が1/10であれば、本川の安全度は1/50も達成しておれば十分です。これ以上の向上は費用対効果から考え、無駄な投資と考えられます。 現状で低くばらついている安全度を中期的にどのようにバランス良く高めていくのか、本川と支川とのバランスはどうするのか、住民の生命と安全を考える上で大切です。 (降雨の規模別に整理すると) 以下、犀川本川および支川の治水安全度について降雨の規模別にどのように整理して考えるべきか、箇条書きにします。 ● 計画規模以上(本川1/100、支川1/50)の洪水が発生した場合、当然、市街地全域で洪水氾濫が発生します。この場合、管理者の県に責任はないとはいうものの、どのような事態になり、住民はどのような対応をしなければならないのか、あらかじめ、案内しておく責務はあり、具体的な対応策を考えておくべきです。 ● 計画規模以内(規模1/100〜1/50)の洪水が発生した場合、この場合も市街地全域で洪水氾濫が発生します。規模は若干、小さいとはいえ、すべての支川が氾濫しますので、かなりの被害が想定されます。どのような事態になり、住民はどのような対応をしなければならないのか、あらかじめ、案内しておく責務はあり、具体的な対応策を考えておくべきです。 ● 計画規模以内(規模1/50〜1/2)の洪水が発生した場合、比較的小さいとはいえ、いくつかの支川で氾濫します。20年〜30年後の整備計画が完了した段階においても1/10以上の洪水で安原川以外のすべての支川で氾濫が起こります。具体的な対応策を明らかにしておく必要があります。 ● 支川の治水安全度は、整備計画の段階でも1/2〜1/50とバラツキがありますが、全体的に均衡を図る必要があります。 ● 現在進行中の犀川本川整備(河口〜JR橋、S54〜H28、流下能力820→1900〜2100m3/秒)、鞍月用水堰上流区間の整備(流下能力500〜1200→1230 m3/秒)が完了すれば犀川本川の治水安全度は著しく向上します。これに対して支川の安全度が1/2〜1/10とすればバランスを著しく欠いています。 平成16年6月4日 中 登史紀
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