金沢洪水考えるNo.17           

●計画洪水量の決め方に誤り
 ――簡単な推計法の重大な誤謬――

 石川県では,平成14年10月以来、約半年にわたり、犀川水系河川整備基本方針をまとめるため、犀川水系河川整備検討委員会で議論が続けられてきた。筆者も傍聴者の一人として参加し、文書によって、委員会開催の都度、申入書、意見書、公開質問書などの形で考えを提起してきた。筆者の問題提起について若干の答えらしき報告はあるが、疑問についての議論がほとんどないままに委員会が進められ、6月10日には、早くも基本方針をまとめるための委員会開催となった。
 「犀川水系河川整備検討委員会設置趣意」には、「委員会での議論を通じ、県民への十分な説明と理解を求めていきたい。」とある。治水に関して、筆者が提起した問題点について、わずかなコメントがあるだけである。十分な説明とは、ほど遠く、石川県の提示する案を全く理解できない状況である。
 委員会および部会を構成する委員は、日本の河川行政をリードすべき、河川工学の学識者であるがほとんど有意な答えがない。県をおもんばかって説明できないのであれば、委員を辞退するべきであろう。実学としては機能不全状態である。
 しかし、議論を通じて、治水に関して、問題が3点に集約できることがわかってきた.どうもこれは、日本全体の治水計画,ダムの根拠なるものの問題点のような気がする.
 その三点とは,
 ●飽和雨量というやっかいもの――貯留関数法の欠陥――
 ●計画洪水量と実際の洪水量とのへだたり――実際の自然現象を捉えていない幼稚で乱暴な解析手法――
 ●計画洪水量の決め方に誤り――簡単な推計法の重大な誤謬――
 三つ目の、計画洪水量の決め方に誤りについてである.
(●計画洪水量の決め方に誤り――簡単な推計法の重大な誤謬――)
 基本高水に関する議論の結論は、「犀川水系河川整備検討委員会河川計画専門部会報告」によれば、

「、、、1/100の計画対象降雨に対するこの流域の流出性状(547〜1741m3/秒まで分布)を確認するとともに、ピーク流量が最大となるもの(平成7年8月30日型)を「基本高水」と考える方針を「計画論として妥当」と了承。基本高水として、値を丸めた1750m3/秒を了承。」

 である。

 大学の先生がこんな単純なことが理解できないとは驚きである。「学者馬鹿」と言われても反論できないだろう。
 最大値を取るということは、一群の中の一つを選択することである。1/100の一群の中の一つを選択すると1/100ではなくなってしまう。一群が2つのものからなっていれば、その内の一つを選択すれば、1/200である。
 1/100の計画対象降雨に対する流量が複数あると考えることから来る誤りである。一群は1/100の流量を求める過程のものであり、一群を統計学的に代表する中央値が、1/100の求める流量値である。
 計画対象の雨は当然、1/100であるが、計算したそれぞれの洪水量は1/100ではない。547m3/秒は1/100ではない。

 
 間違えましたで済む問題ではない!

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