石川県営水道送水管の耐震化事業について

 石川県営水道は、手取川ダムの貯水を水源として、下流の鶴来で浄水して、南は加賀市、北は七尾市まで、石川県全域に水道用水が供給している。水道水は、ポンプで圧力を加えた上で最も大きいものは直径1.8mもある円形の管によって送られている。

 水道管は、地震に対しても耐えられるように造られているが、近年の地震による大きな災害、例えば、新潟県中越地震(平成16年10月23日)による断水戸数13万戸、最大断水期間約1ヶ月があり、石川県でも能登半島地震(平成19年3月25日)による断水戸数13千戸があり、地震に対する備えが十分でないことが認識されてきた。

 このため、国(厚生省)は、平成20年から、「水道施設・管路耐震性改善運動」を展開して水道施設の耐震化の事業を促してきた。石川県もこれに応じて、平成22年より、平成39年までの18年間に860億円の費用をかけて石川県営水道送水管の耐震化事業を推進することにしたものである。

 耐震化事業といっても送水管を二重にするだけの単純な発想の事業である。既設の190km弱の送水管に平行して新たに全長132kmの送水管をもう一本、築造して2系統化することで地震に対する安全度を高めるというわけである。

 ここで留意したいポイントは、送水管システムの耐震化であり、総合的な水道システムの耐震化と全く同じではないことである。サービスを受ける住民の視点から見ると、必要なのは、地震が起きても水道システムが機能するような耐震化対策である。

 金沢市の水道システムは、県営水道のほかに、犀川ダム/内川ダムからの送水管システムをすでに備えている。したがって、県水の送水管が地震で機能不全になっても、犀川ダムと内川ダムからの送水管システムで金沢市の水道システムは機能する。水量も100%、まかなうことができる能力も備えているので耐震化対策はすでに終えているといってもよい。金沢市にとっては、県営水道の送水管の耐震化は不急の事業である。

 ただ、県営水道は県全体の大きなシステムであり、金沢市だけで考えることは適当ではないが。いずれにしても、県営水道の事業者である石川県は、管理する送水管システムだけの安全性について考えているだけで、各自治体の水道システム全体を考えて事業を行っているわけではない。これを踏まえた上で、サービスを受ける住民は、過重なサービスではないか、監視する必要があるだろう。

石川県営水道送水管耐震化事業計画検討に関する業務委託報告書(全文)→クリック
石川県営水道送水管耐震化事業計画検討に関する業務委託報告書(抜粋:2系統化による耐震化事業、送水施設耐震化事業 計画延長、概算事業費、石川県水道用水供給事業概要図など) →クリック
概算事業費 →クリック
石川県水道用水供給事業概要図 →クリック


 

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