石川県内のダム開発による工業用水の惨状!

犀川ダム
 住民監査請求で取り上げた、「犀川ダムで開発した工業用水(3万m3/日)」は、1966年に完成して以来、35年間使用されていないことは紹介したとおりである。金沢市は、毎年20百万円(平成8年〜12年までの5年間の平均)ものダム負担金を石川県に支払っている。平成12年までに322百万円に達している。ちなみに、工業用水にかかるダム建設費は当時の金額で258百万円を負担している。ほとんどは借金で金沢市は昭和36年度から昭和41年度にかけて起債を11回起こし、総額281.8百万円である。昭和65年度までに完済しているが、利息を含めて弁済金額は530百万円に達している。ダム(工業用水分)の建設と維持に約10円近い金額が費やされている。

表S−1  工業用水(3万m3/日)にかかる犀川ダム管理費負担金の総支出(34年間)
 上の表についてはS-1(kougyouyousui18Oct2001).xlsを参照
表S−2  犀川ダムで開発した工業用水にかかる起債と償還
 上の表についてはS-2(kougyouyousui18Oct2001).xlsを参照

手取川ダム
 手取川ダムで開発した工業用水5万m3/日(当初は10万m3/日)は、1979年に完成して以来、22年間使用されていない。
 過去すべての費用を県議会資料の『予算説明資料』から調べた。予算に出てこない、不要額があるので、予算と決算の金額とは若干異なる。決算委員会で承認された「決算書」とその保存期間については調べていない。平成8年〜12年までの5年間の決算の金額については、5年間保存の「支出負担行為伺」から調べた資料を石川県企業局から受領した。
 手取川ダムと八ケ川ダムの工業用水にかかる負担金の区別が記述していないところがあるので、区分できなかった。また、昭和56年度に工業用水10万m3/日のうち、半分の5万m3/日を上水道に転用しているので、費用の一部が上水道に振り替えられているが、詳細がわからないので、ここでは無視している。
 表1-1によれば、昭和46年から平成13年までの31年間の一般会計からの支出(手取川/八ケ川ダムの工業用水分)は80億円に達している。また、表2によると、起債償還金の支払い(手取川/八ケ川ダムの工業用水分)は、昭和49年から昭和13年までの28年間に93億円に上っている。
 表3によれば、手取川ダムの工業用水にかかるダム管理費負担金は、毎年18百万円(平成8年〜12年までの5年間の平均)である。

表1-1 石川県が手取川・八ヶ川ダムで開発した工業用水にかかるダム管理費負担金等
表1-2 石川県が手取川・八ヶ川ダムで開発した工業用水にかかるダム管理費負担金等の歳入
表1-3 石川県が手取川・八ヶ川ダムで開発した工業用水にかかるダム管理費負担金等の歳出
表2 工業用水にかかる手取川ダムのダム償還金
表3 手取川/八ケ川ダム管理費負担金(工業用水) 
 以上の表についてはtedorigawadamakanrihi(kougyouyousui18Oct2001).xlsを参照

八ケ川ダム
 八ケ川ダムで開発した工業用水3,000m3/日は、1994年に完成して以来、7年間使用されていない。
 表3によれば、八ケ川ダムの工業用水にかかるダム管理費負担金は、毎年2百万円(平成8年〜12年までの5年間の平均)である。

 開発の時代が残した負債は、いたるところに山積している。自治体の財政が窮迫するのは無理のないことである。この後始末にどれほどのエネルギーと費用と時間がかかることであろう。

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