「金沢市長に関する措置請求に係る監査の結果について(通知)」の受領について
監査請求に対する結果通知を受けて、平成13年10月29日午前11時から、金沢市役所2階記者クラブ室にて記者会見を行いました。以下はその際に配布した資料です。
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「金沢市長に関する措置請求に係る監査の結果について(通知)」の受領について
8月30日提出の住民監査請求「犀川ダムで開発した工業用水(3万m3/日)のダム管理費負担金の支払い」に対する通知書(監査の結果)を27日(土)に配達証明便で受領しました。内容は配布資料のとおりです。
内容に対する「措置請求者」の考えは以下のとおりです。
3点の措置請求に対して、「理由がない」、「不当な支出にあたらない」として棄却あるいは却下されました。その内容に関しては不十分であり、不満であります。不満ではありますがこれ以上の法的な措置はとりません。その理由は、「監査の結果」の最後に付帯意見として
「なお、本請求における工業用水については、当初の計画と現在までの実績とがかい離している顕著な例である。市長は、今後、このような計画と実態とに大きくかい離が生じているものについては、その事実又は事態を十分に認識され、適時、適切に、その解決に向け努められるように付言する。」
とあり、監査委員会が「措置請求者」の主張を認め、市長がその解決に努力をすべきことを記しているからです。
市長に対して監査結果を具申することになるのであれば、行政の無駄の改善が図られるきっかけとなることが予想され、問題提起した「措置請求者」の目的は十分に果たされたものと考えます。
この監査結果をもとに行政が改善を図る努力を監視することは、議会にゆだねたいと思います。そのため、関心のある議員にはすべての資料を提供したいと考えています。
なお、この地方自治法による住民監査請求はこの通知で完了し、異議の申し立て等はできないということです。不満がある場合は、訴訟を起こす道がありますが、これ以上、訴訟を起こして行政の無駄をこれ以上追求するつもりはありません。もともと、行政の監視の役割は議会が果たすべきであると考えるからでもあります。
各措置請求に対する監査結果についての感想
措置請求1:「平成13年度の工業用水にかかるダム管理費負担金は「工業用水特別会計」より支払うべきこと。」
監査結果:「理由がないものと認めざるを得ない。」
請求者の感想:供給先が違うからといって、工業用水特別会計を市に2つ設けることは考えられない。上水道には、水源や供給先が異なり、原価が違うからといって複数の会計を設けているわけではない。市内であれば料金も同じであり、会計も一つである。同様に、工業用水についても供給先は異なっても、会計は一つ、料金は一つになるのではないか。会計を一つにするからといって、現在の受益者(金沢テクノパーク)に過大な負担をかけるわけではない。実際に金沢テクノパークの工業用水料金の原価は1m3あたり400円ほどかかっているが、料金は1m3あたり45円しか徴収していないではないか。受益者に無理のない、適正な負担を求めることは当然のことである。工業用水の供給費用を明確にすることは必要であり、供給費用をどうしても回収することができなかった場合、やむえず、一般会計、つまり市民の負担にお願いすることが筋ではないのか。現在、受益者からの給水利益がいないからといって、関係のない市民が毎年、負担しなければならない理由はない。
措置請求2:「工業用水(水利権3万m3/日)を放棄あるいは転用するべきこと。」
監査結果:「適法に監査を請求していないものと認めざるを得ない。」
請求者の感想:工業用水を利用しておらず、将来とも利用できないのであるから、利用しようとすれば「放棄あるいは転用」しかない。政策判断以前の問題である。利用していないので無駄な支出であることは自明であり、無駄な支出はやめなさいと主張しているのである。この意味で、法第242条第1項に規定している財務会計上の行為に該当し、「適法に監査を請求していないものと認めざるを得ない」とは言えない。
措置請求3:「平成12年度のダム管理費負担金相当分は金沢市へ返還すること。」
監査結果:「公金の不当な支出に当たるとは認められない。」
請求者の感想:地方自治法や財務会計法上、手続き的に適法である、違法ではないと言っても、実質的に公金の無駄づかいがあれば違法でないとはいえない。
「官官接待」は違法だという法律はないが、そんな不必要な、また社会通念上許されないことは違法だという判決がある。それと同じで「無駄な支出だ」ということになれば、それだけで財務会計法や地方自治法上の違法行為に該当する。
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配布資料:金沢市監査事務局からの通知書「金沢市長に関する措置請求に係る監査の結果について(通知)」
(上記配布資料についてはkansakekka27Oct2001.docをご覧ください)
以下は、W.Kさんの意見です。
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決定の内容で問題なのは、次の3点かな。
その1 判断アの後半部分
「犀川ダムによる工業用水道事業については、末だ営まれておらず、地方公営企業法による特別会計の設置や、特定財源とすべき受益者からの給水収益が存在しない現況のもとで、当該工業用水道に係る犀川ダム管理費負担金については、一般財源による一般会計からの支出によらざるを得ない。」
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これ、計画時あるいは計画スタート初期においては、暫定的措置として行政の裁量権の範囲と言えると思う。しかし問題なのは、計画が挫折してからも漫然と長期に一般会計から支出されていることの是非である。この部分について判断を避けている。また、貴兄の主張するように、特別会計は存在しており、犀川ダムでの工業用水もこれに含めるのはなんら問題はないはず。
その2 判断イの部分
「違法若しくは不当な公金の支出」は、当該地方公共団体の長、職員等が行った違法又は不当な財務会計行為であるといい、すなわち、当該地方公共団体の長、職員等の財務会計上の規範に照らして、客観的に当該行為に不適切又は規範に違反する点があることをいうと解されている。」
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「不当な公金の支出」とは、狭義に解釈すると、単なる職員の不当な行為反となるが、広義に解釈すると、前項のように裁量権を逸脱しているものは「不当な公金の支出」にあたりますね。
その3 判断ウの後段
「法、施行令及び施行規則並びに財務規則の所定の規定に基づき、支出負担行為、納入通知書の受理、支出命令及び審査・支払に係る事務が適正に処理されていることが確認された。」
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こんなことを問題にしていないのにね。これが適正に行われないことはあり得ない。それこそ犯罪ですからね。
つまり、行政(市長)の裁量権の範囲に、今回の問題が含まれるかどうか、ということですね。
前提となる請求理由に、3点をあげていたが、「裁量権の範囲」を含めていなかったけど、これを最初から避けていますね。
付言部分で「かい離の顕著な例」と認定しているから、これを解明してほしかったですね。
けど、「付言」は重い。違法状態であることを認定したのですから。
このまま、何ら措置をしなかったら、明らかな違法となりますね。
県にも重い決定となりました。
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