住民監査請求の「意見陳述」について

 先月30日、金沢市監査事務局へ、「地方自治法第242条(住民監査請求)」に基づき、「金沢市職員措置請求書(金沢市長に関する措置請求)」を提出いたしました。これに対して、監査事務局より、9月13日付けで正式に受理した旨の案内が届きました。第242条第5項の規定に基づく「証拠書類の提出及び陳述」の日時および場所は以下のとおりでした。
 日時:平成13年9月25日(火)午後3時から午後3時30分
 場所:金沢市役所4階 金沢市監査委員室

 監査事務局の一室に、監査委員が4名、事務局職員が立会人および記録係として5,6人つめていました。陳述人の小生に対しては、監査委員に向かい合って説明できるように、席が設けられていました。事務局員の方々の席は小生の後ろに配置されていました。
 監査委員は、役所のOBが一人,民間の人が一人、議員が二人。役所のOBの中西勝之さんという方が委員長、民間人の中島秀雄および議員の二人(小津正昭、安達 前)のメンバーでした。第一印象は、委員長は誠実そうできちっと話を聞いてくれそうでした。これに対して、議員の方は人相が悪く、目も死んだようでまっすぐ小生を見てない様子でした。真剣に聞こうという雰囲気が感じられず、最後の質問も「ありません」という、気のない返事で議員の程度の低さ、選ぶ金沢市民のレベルの低さを間接的に感じた次第でした。
 ちなみに、監査委員は、地方自治法第195条にもとづいて任命されているとのことです。金沢市の規模であると、監査委員は4名で、半分は議員から選ばれる。議員は市議会議長の推薦、他の二人は市長の推薦で、ともに市議会の議決を経て決定されるそうです。前者が「議選」、後者は「識見(しっけん)」と略称するそうです。

 それはともかく、委員長の挨拶と簡単な注意(補足以外の関係のないことは陳述しないように)があり、すぐに始まりました。委員長の注意に対して、小生は住民監査請求をするようになったいきさつなどの補足を説明しないとわかりにくいと思い、許しを得て、辰巳ダムの利水にかかる開発の「経緯」と「問題提起の背景」をまず最初に述べました。既存のダムで開発した上水と工業用水の水あまりのうち、工業用水を選択し、まず、工業用水開発に関して監査委員に基礎的な認識をもってもらうために、「工業用水開発のいきさつ」について説明しました。途中で取り巻く状況の変化により、開発された水が使われないままになっていること、将来とも使用見込みのないことを統計的根拠を示し、「現在の工業用水に関する需要と供給の動向」として説明しました。
 約25分ほどで終わりました。先月30日に提出した証拠書類に追加するものはありませんでした。

「経緯」と「問題提起の背景」
 平成13年5月9日に、金沢市長および金沢市企業局長に対して、犀川ダムおよび内川ダムで開発した工業用水と上水の水余りを指摘した公開質問状を提出しました。これに対して、平成13年7月12日に金沢市長および金沢市企業局長より回答を受領しました。工業用水と上水ともに余剰ではなく、貴重な用水あるいは水利権であり、現状のまま維持するべきであるとの回答がありました。当方が具体的な数値を根拠に水あまりを指摘したのだから、回答も具体的な数値を根拠に説明してもらえるように要望したにもかかわらず、何の根拠もなく、貴重なものであるとの回答であり、全くのゼロ回答でした。
 議論しようにも議論のデータも示さないで貴重だとオーム返しに回答されても全く埒があきません。このような経過から、法律にもとづいて「住民監査請求」をすることにした次第です。

 辰巳ダムは治水と利水の二つの目的を持っています。利水について検討してみたところ、犀川水系の利水のために築造された犀川ダム、内川ダムで大量の水あまりがあることが判明しました。大量に水が余っているにもかかわらず、辰巳ダムで河川維持用水のためにダム貯水量240万m3を開発しようとしているのは、ダムの容量案分で40億円に相当する無駄遣いにあたります。犀川ダムの工業用水にかかるダム貯水池207万m3を転用すれば、費用ゼロで目的を実現できます。

「工業用水開発のいきさつ」
 当初、急増する工業用水の需要を賄うために、無料で容易に取水できる地下水が大量に使用された。そのため、地下水の大量汲み上げによる地盤沈下公害が発生した。増大する水需要に対処するため、別途水源を確保することが求められた。地下水の利用規制が行われた暁には、不足分をダムで開発した工業用水をあてることを想定してつぎつぎにダムによる工業用水が開発された。
 昭和36年(1961)に金沢市は犀川ダムで工業用水(3万m3/日)を開発することを決めた。金沢臨港地区周辺に進出する工場へ用水を供給するためである。昭和41年(1966)に犀川ダム完成。石川県も同時に、金沢臨港地区周辺に開発する工業用地への用水を供給する目的で、10万m3/日の工業用水を手取川ダムで開発した。手取川ダムは昭和55年(1980)に完成した。ところが、昭和54年(1979)、第二次オイルショック。水需要の見込みがたたないので、昭和56年(1981)に石川県は金沢市の工業用水を含めて見直し。昭和62年(1987)に再び、見直し。未だに見通しがたたない内に、工業用水の需要は著しく、減退。さらに追い打ちをかけるように、製造業の生産拠点の途上国への移動に伴う、国内産業空洞化現象が進み、ますます、水需要減退。

「現在の工業用水に関する需要と供給の動向」
 金沢市全体の工業用水の需要は、1980年の208千m3/日から1999年の88千m3/日へと激減した。地下水はその内の78千m3/日(1999)である。
建築用の地下水を含めて、約14万m3/日である。
 これに対して、地下水の許容揚水量は、21〜24万m3/日である。約10万m3/日近い、余裕がある。
 また、市内に配水管網が巡らされている「上水道」は、年平均で15万m3/日の余剰が発生している。1m3当たり180円と高いが、県水を除いた自己水源で供給することを考えると半減する。ちなみに、金沢テクノパークの工業用水は1m3当たり45円で売られているが、給水原価は、平成11年度で1m3当たり374円の高さである。

【注意】
 「意見陳述」に関するメモを前日の24日(月)の夕方、金沢市の記者クラブのFax220-2061へ送ったのですが、記者らには届いておらず、行方不明状態になりました。このFax機は、隣の市広報室にあり、市の職員が管理しています。たまたま、祭日であったこともあったのかもしれません。しかし、市の職員に廃棄された疑いもあります。市に都合の悪い(?)Faxだったので廃棄されたのではないかと疑いがあります。Faxを送った後、記者クラブの幹事に確認をする必要あり。ご注意を!

HOMEにもどる