犀川ダムで開発された工業用水の遊休化に関する金沢市住民監査請求

2001年8月30日以下の住民監査請求いたしました。

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          金沢市職員措置請求書
         金沢市長に関する措置請求


一、請求の要旨
 金沢市長は犀川ダム(昭和40年度完成)で開発した工業用水(3万m3/日)のため、ダム管理費負担金を石川県に対して毎年払い続け、34年間が経過しています。
犀川ダムで開発した工業用水に対して負担金を支払い続けるのは、公金の不当な支出にあたります。
 不当な理由は、二つあります。
 一つ、工業用水にかかるダム管理費負担金が、不特定多数の住民のために支出されるべき、一般財源で支払われていること。
 本来、工業用水の使用者が負担するべきものです。金沢市特別会計条例(昭和39年4月1日)にもとづいて設置された「工業用水道事業特別会計」から支出するべきです。
 一つ、工業用水が使用される見込みが無いにもかかわらず支払い続けていること。
 犀川ダム建設当初に見込まれた工業用水の需要は急速に縮小しました。このため、石川県は昭和56年にダムで開発した工業用水の需要見込みを
  13万m3/日(手取川ダム10万m3/日、犀川ダム3万m3/日)から
  5万m3/日(手取川ダム5万m3/日、犀川ダム ゼロ)へ変更しています。石川県は余剰の5万m3/日は上水道用水に転用しました。この時点で、金沢市は余剰の3万m3/日を他の用途へ転用するなどして精算するべきでしたが、放置しました。
 その後、昭和55年(1980年)から平成11年(1999年)の20年間に工場の水需要は半減しました。現在、工場で使われている水はほとんど地下水ですが、地盤沈下などの公害が懸念されない許容揚水量の半分以下となっており、地下水の余裕もあります。地下水は、1m3あたり数円程度の電気代で用水を調達できます。一方、ダムで開発した水は、1m3当たり50〜200円程度の費用がかかります。したがって、高い料金の工業用水の需要は全くありません。
 その上、市内の配管網からどこでも使える、年平均で10万m3/日を超える上水道の余裕もあります。
その結果、金沢市歳入歳出決算書によれば、工業用水にかかるダム管理費負担金は昭和42年から平成12年までの34年間で総計322百万円にも達しています。平成12年度は18百万円を支払っています。

 工業用水3万m3/日は35年間未利用およびダム貯水池207万m3遊休化を解決するために、金沢市長に対してつぎの三事項を措置請求いたします。
 一つ、平成13年度の工業用水にかかるダム管理費負担金は「工業用水特別会計」より支払うべきこと。
 一つ、工業用水(水利権3万m3/日)を放棄あるいは転用するべきこと。
 一つ、平成12年度のダム管理費負担金相当分は金沢市へ返還すること。

二、請求者
 住所 金沢市小立野3−12−28
 職業 技術士
  中 登史紀

 右地方自治法第二百四十二条第一項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。
平成13年8月30日
石川県金沢市監査委員  様

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なお、添付資料はこちらです(PDF文書)
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                               平成13年8月27日
マスコミ 関係各位 様

                        金沢市小立野3−12−28
                              中 登史紀(技術士)
                               090-1635-8617

 地方自治法242条に基づいて30日(木)、「住民監査請求」を行います。

住民監査請求の内容
 金沢市は犀川ダムで開発した工業用水(3万m3/日)を使わないまま、34年間、犀川ダム管理費負担金を毎年、石川県へ払い続けています。これからも使う当ても無いのに、年に二千万円近い負担金を支払うのは不当な支出にあたります。
 問題は二つで一般財源で支払っているということ。工業用水は使用者からその費用を回収するべきで、不特定の住民の福祉等に向けるべき一般財源で支払うのは不当です。すでにある「工業用水特別会計」で支払うべきです。
 もう一つは、使う見込みがないにもかかわらず負担金を払い続けていること。犀川ダム建設当初に見込まれた工業用水の需要は急速に縮小し、石川県は昭和56年にダムで開発した工業用水の需要見込みを
 13万m3/日(手取川ダム10万m3/日、犀川ダム3万m3/日)から
 5万m3/日(手取川ダム5万m3/日、犀川ダム ゼロ)へ変更しています。石川県は余剰の5万m3/日は上水道用水に転用しました。この時点で、金沢市は余剰の3万m3/日を他の用途へ転用するなどして精算するべきでしたが、放置しました。
石川県は昭和65年(1990)から、金沢臨港地区へ工業用水の供給を開始する予定でしたが、10年を過ぎた今でも、供給の見込みは全くたっていません。需要がないからです。
 金沢市歳入歳出決算書によれば、工業用水にかかるダム管理費負担金は昭和42年から平成12年までの34年間で総計322百万円にも達しています。平成12年度は18百万円を支払っています。
工業用水3万m3/日は35年間未利用およびダム貯水池207万m3遊休化を解決するために、金沢市長に対してつぎの三事項を措置請求する予定です。
 工業用水(水利権3万m3/日)を転用するべきこと。
 ダム管理費負担金は「工業用水特別会計」より支払うべきこと。
 支払ったダム管理費負担金は金沢市へ返還すること。

住民監査請求をするに至った経緯
 平成13年5月9日に、金沢市長および金沢市企業局長に対して、犀川ダムおよび内川ダムで開発した工業用水と上水の水余りを指摘した公開質問状(金沢市長宛(PDF)金沢市企業局長宛(PDF))、を提出しました。これに対して、平成13年7月12日に金沢市長および金沢市企業局長より回答を受領しました。工業用水と上水ともに余剰ではなく、貴重な用水あるいは水利権であり、現状のまま維持するべきであるとの回答がありました。当方が具体的な数値を根拠に水あまりを指摘したのだから、回答も具体的な数値を根拠に説明してもらえるように要望したにもかかわらず、何の根拠もなく、貴重なものであるとの回答であり、全くのゼロ回答でした。
 議論しようにも議論のデータも示さないで貴重だとオーム返しに回答されても全く埒があきません。このような経過から、法律にもとづいて「住民監査請求」をすることにした次第です。

住民監査請求で指摘する内容の背景
 辰巳ダムは治水と利水の二つの目的を持っています。利水について検討してみたところ、犀川水系の利水のために築造された犀川ダム、内川ダムで大量の水あまりがあることが判明しました。大量に水が余っているにもかかわらず、辰巳ダムで河川維持用水のためにダム貯水量240万m3を開発しようとしているのは、ダムの容量案分で40億円に相当する無駄遣いにあたります。犀川ダムの工業用水にかかるダム貯水池207万m3を転用すれば、費用ゼロで目的を実現できます。
 なお、辰巳ダムの治水に関しては、問題解決(100年確率の洪水に対して不要!)との結論がでたと考えています。その理由は、平成11年7月31日の「意見交換会」で提出した「降雨量・洪水量問題に関する意見交換後の再問題提起」に対して、石川県は回答すると答えたにもかかわらず回答しないのは回答できないということだからです。

日程(予定)
 8月30日(木) 午前10時  住民監査請求を行政監査事務局へ提出
          午前10時15分 記者クラブで記者会見
 9月3日(月) 午後4時30分 金沢市長に説明

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