彼らの演奏はよる遅くまで鳴り響いたとさ。
GREAT!
FANTASTIC!
マスターも熱のこもる演奏を…
アットホームなアイリッシュ音楽会
最近、日本でも愛好者が増えつつあると聞くが、アイリッシュ音楽というと、一般の日本人にはなじみが少ない。映画「タイタニック」の一場面で採用されて注目をあびたそうだが、映画音痴にとってはチンプンカンプンである。さらに、取り立てて楽器に興味があるわけでもなく、音楽といってもなじみの少ない方である。ただ、趣味や仕事で世界の各地を放浪することの多い小生にとって、各地で聞く、地映えの音楽には印象的なものが多い。人々が歌いつないで練り上げてきたもので長い歴史に育まれてきたからであろう。カリフォルニアの大衆酒場のカントリーミュージック、ダマスカスの町に溢れるアラブ音楽、ナイロビのホテルの食堂で毎日演奏されていた西洋風にアレンジされていたケニア音楽? アイリッシュ音楽とはどんなものかな?!?
3月31日の夕方から、近江町の入口にある「メロメロポッチ」で行われた。6時少し前に行ってみると、10人ほど、集まっていた。赤嶺さんと奥さんのセーラさん、他に音楽仲間の二人を加えて、演奏者4人のミニ演奏会である。赤嶺さん夫婦とは2年ぶりの再会である。赤嶺さん夫婦は2年ぶりの里帰りで、短期間のあわただしい日程の中で旧知の友人らに声をかけて、旧交を温めながら、楽しい夕べを共にしようと言うことで開催されたものだ。観客が20人ほども集まると一杯という感じの空間であるが、日頃から、気心の知れた連中が集まるところだそうで、アットホームな雰囲気である。小生も声をかけてもらったので、みんなの邪魔をしない程度にと知人とともに参加したわけである。
アイルランド島と大ブリテン島 |
アイルランド島拡大図とエニスの位置 |
赤嶺&セーラ夫妻はアイルランドのエニスに住んでおり、
そこでフィドルを学んでいます。 |
ここで、アイリッシュ音楽、アイルランドについて、あまり知識がない人に簡単に紹介すると以下のとおりである。アイルランドは、イギリス(大ブリテン島)の西にある島国であり、7万km2と九州よりも一回り大きい。人口は400万人弱の小国である。イギリスとアイルランドとは、民族も違い(アイルランドはケルト人)、宗教も違うので(イギリスはプロテスタント、アイルランドはカトリック)、あまり仲がよくない。イギリスに支配されていた時代もあり、戦後の1949年に完全にイギリス連邦から離脱し、独立した。隣の国でありながら、関係がギクシャクする「日本」と「朝鮮」の関係に似ているとも言えそうである。
ケルト人は言語を持たなかったそうで、音楽と踊りは発達した。アイリッシュ音楽はアイルランドの踊りと一体不可分のようである。アイリッシュ音楽を聴いていると、小生のような踊り音痴も踊りだしたくなる。アメリカのカントリーミュージックもみんなで踊りながら音楽を楽しむのでルーツは同じだろう。
アメリカといえば、アメリカで同じ欧米出身ながら、アイルランド人グループは少し立場が違う。最初に入植したのはイギリス人たちであり、アイルランド人はずっと遅れてアメリカに渡っているので、肩身が狭かったらしい。アイルランド系のケネディ、レーガン大統領がでて著しく印象が変わったようである。
ところで、1世紀半程前にアイルランドで大飢饉があった。気候が寒冷である。真夏の平均気温が15度前後と東京や金沢よりも10度以上も低い。そして、土地がやせているので「ジャガイモ」が主要農作物だ。このジャガイモもとれず、「ジャガイモ大飢饉」といわれ、この時に餓死者と米国へ避難した人あわせて200万人がアイルランドから消えた。現在でも400万人弱の国であるので、当時は、国家消滅の危機にあったと想像される。
このような、暗く?厳しい自然環境の中から生まれた音楽とは一体どのようなものなのだろうか。アイリッシュ音楽を聞いてみると、やけに楽しい。踊りだしたくなる。勝手に想像するに、生きるか、死ぬか、の厳しい環境の中で、毎日毎日、一日が無事に終われば上出来、楽しく、音楽と踊りと酒を楽しもう。心ゆくまで穏やかな夕べをみんなで楽しもうということなのであろう。明日は命がないかもしれないという切迫の中でも心に希望とゆとりをということだろう。現実の暗さを、厳しさを克服して、世界的に通じる普遍性を掴んだアイリッシュ音楽?
翻って、日本の民謡はどうだろう。豊かな瑞穂の国では、音楽は収穫を祝い、神に感謝の気持ちを伝えるために、歌を歌い、踊りを踊ったと聞く。歴史を振り返ると、江戸期においても大飢饉といわれるものが多くあるが、それでも北国の一部の地域で起こったものに過ぎず、国全体が消滅するほどの危機に陥ったことはない。江戸期においてもこの国で3千万弱の人口を維持した。豊かで安定していた証左である。このような環境の中で育まれた日本の民謡はそれなりに味わいがあるが、世界に通用する普遍性があるとも思えない。生き死にのフィルターをくぐり抜けないと普遍的な味の抽出できないのであろうか?
講釈はともかく、演奏会の様子を写真で紹介する。アイリッシュ音楽には、「リール」、「ジグ」、「ホーンパイプ」のジャンルがあるそうであるが、各ジャンルの音楽を適当に演奏するとのことであった。その違いは説明できない!?!
メンバーを紹介します
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赤嶺文彦さん(フィドル演奏、フィドルはアイルランドのバイオリン) |
赤嶺セーラさん(フィドル演奏、アイルランドへ行った目的はフィドル演奏を修得するためとのこと) |
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佐藤さん(ギリシャの楽器「ブズーキ」演奏、ただし、本物のブズーキが壊れたのでギターを調整してブズーキの代わりにしているとのこと) |
チャペックのマスター(ギター演奏) |
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噂を聞きつけてきた親子
知る人ぞ知る、知らない人は知らない!
柳田村在住の陶芸家(右)と娘(左)さん
(東京でカメラ撮影の技術を習得中。春休みで帰省) |
ミュージック スタート!
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