知的所有権(あるいは知的財産権)
21世紀は知的創造の時代とも言われる。知的創造の成果である「発明」や「デザイン」などの権利を保護することによって、発案者の努力に報い、さらなる創作活動を刺激することによって、社会の発展を促そうとするものである。このようなしくみのない時代は、真似されることを恐れて、門外不出の技術あるいは知恵として秘蔵されたものである。
知的所有権あるいは知的財産権は、英語のIntellectual
Property Rightsを訳した言葉である。大別して、「著作権」と「工業所有権」に大別される。
著作権は、著作者の著作物の権利を保護するものであって、著作権法によっている。管轄は文化庁である。この権利は、著作者が著作物を創作した時点で発生する権利である。文化庁へ登録しなくても著作権法によって保護される。ただし、争いになった場合、創作した時点を明らかにする必要があるため、いつ、どこの展覧会に出品したなどの証明が必要になったりする。これを避けるため、文化庁へ著作権登録することもできる。所定の様式があり、文化庁は受け付けてくれる(判子をおしてくれる。)。特許庁のように、登録したものを管理(例えば、類似の登録があるとかないとかなど)することはない。個人の管理にゆだねられている。
なお、「著作物」の定義は、「著作権法」の第二条で以下のとおりに定義されている。
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
以下、省略。
○の中にCは、copyright(著作権)の省略記号である。
工業所有権は、特許、実用新案、意匠,商標などの権利である。管轄は特許庁である。この権利は、申請し登録されて法律で保護される権利である。特許庁は、これら特許、意匠などを管理している。管理にかかる費用は申請者が負担しなければならない。
ちなみに、工業所有権に関するアドバイスをしてくれる人が「弁理士」である。
「商標登録」の目的は、他人と自分の商品を区別するためである。そして、業としてやっている場合である。例えば、「ラッパのマークは大鵬薬品の登録商標です。」など。表示をしてもしなくてもよい。
「意匠登録」する場合は,「物品を特定」することが必要条件となる。「壁掛け」とか、「ブローチ」とかである。この物品に対してだけ、権利が保護される。登録を申請すれば、特許庁が類似のものがあるかどうかを調べ、無いと判断すれば登録される。登録されると、「類似範囲」まで権利が及ぶ。「類似範囲」の定義は、名文化されておらず、あいまいな面があり、端的に言えば「誰にもよくわからない。」。似ているかどうか、権利を侵害しているかどうかについては、訴えを起こすことによって法廷で争われ、「裁判所」が判断することになる。
あいまいな点を補い、自分の権利を守るために類似の関連したものをいくつも登録申請することが認められている。どれかに似ているということで、「類似の範囲」を広げようとするものである。
登録申請する場合、申請書類が約1枚と図あるいは写真をつける。図あるいは写真は6面(正面,側面、背面、下面など)必要である。
服装のような、流行のあるものは、例えばネクタイなどは、意匠登録できるが、ほとんどはしていない。どんどん、変化して行くので現実性がないと考えられているからである。