句の上(かむり)と下(くつ)を決めて、その間を自由に創作する遊びの形式を「くつかむり」と
言うそうであるが、橘曙覧は得意で『独楽吟』はその代表作。「かむり」が「たのしみは」で、「くつ」が「時」である。『独楽吟』52首のうちから、前掲の句の他に数首をつぎにあげると

たのしみは ある朝起きて 辰巳ダム 県は断念 見出し見る


 「たのしみは」で始まり,「時」で終わる連作句集『独楽吟(どくらくぎん)』のなかの一首をクリントン大統領が、天皇皇后両陛下の訪米歓迎スピーチ(平成6年6月13日)で紹介して、橘曙覧(たちばなあけみ)が注目されるようになりました。

 たのしみは 朝おきいでて 昨日まで 無かりし花の 咲ける見る時

 日米関係の新しい花をともに育てましょうという意味でしょうか? 




たのしみは 空暖かに うち晴れし 春秋の日に 出でありく時
たのしみは 心にうかぶ はかなごと 思いつづけて 煙草すふ時
たのしみは 銭なくなりて わびおるに 客の来たりて 銭くれし時

橘曙覧は、福井城下町生まれの幕末の歌人です(1812-68)。形式や固定観念にとらわれず、自由に飾らず、生活や社会や自然を詠み、正岡子規は「万葉・実朝以来の歌人」として絶賛しました。近代短歌の先駆者としても高い評価を受けているとのことです。佐々木幸綱さんの推奨は、わかりやすいということで、

 とくとくと 垂りくる酒の なりひさご うれしき音を さする物かな

 です。酒好きには非常にわかりやすい。

「独楽吟」を真似て詠んでみました。

たのしみは ある朝起きて 辰巳ダム 県は断念 見出し見る

 暇な時、鬱憤を晴らしたい時などにたのしみに作ってみてはいかがでしょうか!?

 

 

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